3月17日(月)
■アメリカは、日本の公的資金の注入の経験に学んではどうか 3月にはいってようやく春めいてきた今日この頃であるが、世界に目をやるときアメリカのサブプライムローンに端を発した金融不安が進展し、ドル下落とともにニューヨーク株式市場も大幅な下落となっている。そうした中、アメリカやヨーロッパの中央銀行は、先週数十兆円に及ぶ流動性の供給に踏み切ったものの、アメリカの大手証券会社であるベアー・スターン社に対してニューヨーク連邦銀行の支援がなされるなど、激震がはしっている。事態はアメリカだけでなく、ヨーロッパにも大きく影響し、イギリスでは中小のノーザン・ロック銀行が一時国有化されているのだ。 こうした状況は、まことに日本のバブル経済が崩壊した後の金融危機によく似ており、一体いくらの不良債権を抱えているのか、バーナンキ議長は当初1,000億$としていたが、最近ではスタンダード&プアーズが2,850億$と損失規模を見込んだものの、楽観的だと見られている。どのくらい住宅価格の下落が進むのか不明なため、損失が確定できないのが実情だろうが、かつての90年代初めのS&L危機の際、1,000億$近い財政資金を投入したことや、日本でも97年の金融危機以降、50兆円を越す税金を投入し、果敢に資本増強を進めたことを思い出すべきときである。 ところが、ブッシュ大統領もポールソン財務長官も税金の投入には反対しており、事態の解決に向けての動きは弱いといわざるを得ない。流動性の供給や金利の低下ということだけでは解決できなかった日本の教訓を、しっかりと学んで欲しいものである。 こうした世界的な金融危機は、日本経済にも大きな影響を持ってくることは必至であろう。すでに1$=100円を突破した円高は、おそらくさらに進展することは間違いないし、アメリカ経済の減速もあいまって、輸出主導でもってかろうじて成長してきた日本に対して、短期的には大きなダメージを与えるだろう。日本の株式市場もアメリカに連動して下落をし、先行きに対する市場の不安感は増大している。とくに、食料品や石油製品の値上がりが進んでいる一方で、マクロ経済的にはユニットレーバーコストの低下が続き、需給ギャップの改善が進まず、デフレ経済からの脱却は依然としてできていない。物価の上昇とデフレの並存という、なんとも奇妙な実態が進展しているのだ。ここで不況に突入すれば、スタグフレーションという厄介な事態が待ち受けているのだろうか。
■史上初めての同意人事者からの事前ヒアリング こうした難局に直面しているとき、政府は3月7日になって、19日で切れる日銀総裁と2名の副総裁の同意人事案を国会に提示してきた。翌8日、衆参の議院運営委員会の場で、史上初めて3人の候補に対する意見聴取と質疑がなされ、民主党は武藤総裁候補と伊藤隆敏副総裁候補を同意しないことと決定した。その理由は、いろいろ指摘されているのだが、要約すれば、武藤候補については財務省の事務次官から日銀の副総裁に就任するとき、かつての”たすきがけ人事”復活の布石ではないか、という財金分離の立場から民主党は反対しており、この間の財務省の政策はもとより、日銀の金融政策や経済政策についての問題点について、しっかりとした納得できる解答が得られず、日銀の独立性を確保しうるかどうか、心許ないことがあげられようか。伊藤隆敏候補については、インフレターゲット論者であり、経済財政諮問会議のメンバーとして格差拡大路線に忠実であったという事だろうか。いずれにせよ、参議院の本会議で武藤、伊藤候補については同意されなかったのだ。3月19日まであと数日、17日に出直しの人事案が提示される。このような世界的な金融危機といえるような情勢の下で、日銀総裁の不在だけはなんとしても避けなければならない。政府側の努力とともに、民主党としてもここはしっかりと腹をくくる必要がある。
■政府は正式な修正協議の提案を行うべきだ それにしても、参議院での予算関連法案の審議は、いつになったら始められるのだろうか。3月31日という予算関連の日切れ法案(この中にはガソリン税などの暫定税率も含まれている)のデッドラインは迫ってきている。法案に対する修正協議に政府・与党側は本気でやる気があるのだろうか。どんな場で、誰が、いつまでに、どんな修正をするのか、正式な修正協議の本格的な提案がなされなければなるまい。その前に、当然のことながら法案が審議される財政金融委員会が開催され、しっかりとした審議がなされなければならないと思うのだが、あまりにも時間がなさ過ぎる。
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