2008年3月のニュースレター:[以前のニュースレター]
 
 
3月31日(月)
 
 
■ガソリン価格の25円値下げ実現、民主党の戦術的勝利
 いよいよ年度末を迎える。国会は、憲法の衆議院優越規定によって予算は通ったものの、予算関連法案は参議院での審議ができないまま年度末を迎え、道路特定財源をはじめとする日切れ法案については、このままでは4月1日から適用期限が切れるため、ガソリン価格は25円暫定税率分が下がることになる。ガソリン価格の低下は確実であり、すでに早い地域では、ガソリンスタンドで大幅な値下がりが始まったところがあるという。
 国会は、道路特定財源の暫定税率だけでなく、3月31日で日切れを迎える生活関連の軽減税率が元に戻るため、1月のつなぎ法案のときに引き続き、両院議長が仲裁に入ることになり、衆参両院で道路特定財源を除く7項目の生活関連日切れ法案だけ抜き出したものを、継続させることで合意するに至ったのだ。本来なら、民主党が参議院に提出している道路特定財源抜きの法案を可決すれば済むものを、参議院で野党側が可決したら、与党側が憲法第59条2項を使って、衆議院から送った政府提出の税制関連法案を否決したものとみなし、衆議院で3分の2の多数で持って再可決する恐れがあるため、完全に与野党が膠着状態に陥っていた。そこで、再び両院議長の仲裁でもって打開することになった次第である。なんともはや国民からすれば、なかなか理解しにくいことではあるものの、国民生活を犠牲にすることを阻止できたわけで、民主党の主張が通ることとなったのだ。まずは、戦術的には民主党の勝利といってよいだろう。

■福田総理大臣の捨て身の記者会見は国民公約だ
 一方、与野党の修正協議のほうは新しく事態が進展し始めてきた。与党側が先週、政策調査会長レベルで提示してきた修正協議内容は、一般財源化については来年度以降その方向で協議するものでしかなく、いつから一般財源化するのか期限がないなど、まったく評価できない代物であったのだが、3月27日午後4時、福田総理大臣が突然記者会見を行い、道路特定財源の一般財源化については、平成21年度から実施することを中心に7項目の提案を行ったのだ。この情報が伝えられるや、自民党役員会は大混乱となり、幹事長を始め党側との十分な了解がとられていなかったことが判明し、一時は党内の亀裂が公然と語られるなど、党内不統一が明確になったものの、翌日には総理の提案を含めて与党側が、民主党などとの協議に入ることを表明するに至ったのである。それにしても、与党側が幹事長を中心に提起してきた内容と、総理大臣の記者会見の内容の間には矛盾を含んでおり、今後の修正協議はもちろん、参議院での審議の中でも追求されねばならない。
 ちなみに、総理大臣の記者会見について印象が深かったことは、内容的には総理の提案内容については国民に対する約束であり、必ず実現したいということと、記者会見場に官房長官や3名の官房副長官が誰も臨席していないことである。背水の陣というよりは、孤立の中でなんとしてもリーダーシップを発揮したいという執念の記者会見、捨て身の記者会見といえようか。

■道路特定財源の21年度一般財源化の提言は、しっかり受け止めるべきだ
 だが、この記者会見で提起された一般財源化を来年度から実施するという問題提起は、大きく評価すべきものであり、直ちに暫定税率を廃止しないからといって軽々しく扱うべきではない。すでにこのニュースレターで明らかにしてきたように、道路特定財源の一般財源化という課題は、小泉内閣以来提起され続けてきた古い自民党権力の最後の砦であり、この一般財源化の意義はまことに大きい。まさに”国のかたちを変える”といっても言い過ぎではない大改革であり、高く評価すべきものである。自民党の中にも道路特定財源を一般財源化すべきだという考え方を持った政治家は多く、この機会に実現させることが重要である。
 確かに、暫定税率を一挙に無くして、ガソリン価格を一時25円下げることは、国民に対して参議院で民主党が勝利したことの成果として目に見える形の還元ではあろう。ただ、自民党の言うように、もしも4月末以降衆議院で、3分の2で政府原案をそのまま可決すれば、今後10年間59兆円の道路中期計画が復活することになるのだ。ここは冷静に総理大臣提案をじっくりと吟味し、政策協議に臨んでいくべきときではなかろうか。もし、一般財源化が勝ち取れれば、民主党は戦略的にも勝利したといえるのだ。







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3月24日(月)
 
 
■予算関連法案、参議院での攻防のヤマ場へ
 年度末を控え、国会は激しい与野党の攻防に入ってきた。先週は日銀総裁の同意人事をめぐって、ついに総裁が空白になるというまことに異常な事態に突入してしまった。
 今週は参議院での予算審議が29日で自然成立となることから、自然成立を阻止すべく28日に採決が行われることは確実である。参議院では政府予算に対して反対が多数となるものの、憲法の規定で衆議院の議決が優先される。それだけに今後の予算関連法案、とりわけ道路特定財源の暫定税率の廃止や一般財源化の取り扱いをめぐって、与野党のさまざまな駆け引きの中、31日までに予算関連法案を参議院で通すかどうかが大きな攻防点になりつつある。
 与党側は、参議院で予算関連法案が審議に付され、その採決で否決されれば直ちに衆議院で憲法第59条2項(「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」)をつかって3分の2の賛成で持って可決していこうとしていることは間違いない。

■憲法第59条2項の解釈問題に躊躇すべきなのか
 そこで民主党のほうは、予算関連法案のうち税制関連の法案を3つに分割し、3月31日までに採決しなければならない生活関連の租税特別措置のうち、ガソリンなどの暫定税率を削除した法案を先に採決して国民生活に支障がなくするとともに、国民に約束してきた暫定税率の廃止を実現させようとしているのだが、ここでこの法案を参議院で議決すれば、自民党側は直ちに先に掲載した憲法第59条2項を使って、参議院で否決したものとみなすのではないか、と民主党は疑心暗鬼に陥っているのだ。当然参議院で民主党提出の議員立法である租税特別措置法案は、衆議院での内閣提出の租税特別法案とは別物であることは言うまでもないのであるが、ことは憲法の解釈であり、まさか裁判所に訴えることもできず、最後は衆議院議長の判断でもって採決されるかどうかが決まるというわけで、その点が明確にならないとして参議院で民主党の対案の採決にまで踏み込もうとしていないのが現実である。
 このような背景があるために、参議院での財政金融委員会での審議が始められないというのも変ではあるが、今週中には間違いなく財政金融委員会が開催されることになる。ただ、租税特別措置の問題については、審議できる時間はほとんど残されていないわけで、国会というのは論戦の府でもあるわけで、国民からの批判にどう答えていけるのか、悩ましいところである。

■修正協議の成否は一般財源化と暫定税率廃止に踏み込むことだ
 このような厳しいやり取りがなされる背景には、参議院選挙で勝利した民主党・野党側が、直近の民意が民主党・野党を勝利させただけに、その勝利に対する現実の成果を一つでも実現させたいという意欲が強くにじみ出ているのだ。ただ、衆議院で3分の2以上の議席を持っている与党側の壁が厚く、それを乗り越えていくためには参議院で反対したとみなされる60日間(実際は4月1日から29日までの29日間)だけでも、参議院の主張でガソリンの暫定税率分25円を下げさせることができれば大きな成果だと見ているのだ。4月29日を過ぎて、衆議院で再びガソリンの税率を元に戻すとすれば、それこそ内閣に対して不信任(実際には参議院での問責決議)を突きつけ、内閣を倒し解散総選挙を求めていこうとしているのだ。事はそう簡単にはいくかどうかわからないのだが、以上述べた民主党側の狙いは、今のところ揺らいではいない。
 一方、与党側から道路特定財源問題を中心に、修正協議の提案が21日提示された。ただ、どこを見ても暫定税率の廃止を含めた具体的な指摘はないし、一般財源化についても実施する時期は抜本的税制改革の際というあいまいな表現で、しかも確実に一般財源化をするという確約ではなく、検討するという役人言葉で言えば、やらないということもありうると読めるものになっている。一方で、今年の歳入関連法案は無傷のままで通すことになっているし、必要な道路財源は確保するということも道路族議員の強い主張で明記されている。これでは修正協議に入って合意することは不可能であり、一般財源化と暫定税率の削減の確約がなされなければ修正協議は不可能であろう。時間が無くなりつつある今、与野党の真剣な協議がなされることが必要であり、財政金融委員会もその協議ができる場として活用すべきだと思う。そのための労は惜しむものではないのだが・・・。









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3月17日(月)
 
 
■アメリカは、日本の公的資金の注入の経験に学んではどうか
 3月にはいってようやく春めいてきた今日この頃であるが、世界に目をやるときアメリカのサブプライムローンに端を発した金融不安が進展し、ドル下落とともにニューヨーク株式市場も大幅な下落となっている。そうした中、アメリカやヨーロッパの中央銀行は、先週数十兆円に及ぶ流動性の供給に踏み切ったものの、アメリカの大手証券会社であるベアー・スターン社に対してニューヨーク連邦銀行の支援がなされるなど、激震がはしっている。事態はアメリカだけでなく、ヨーロッパにも大きく影響し、イギリスでは中小のノーザン・ロック銀行が一時国有化されているのだ。
 こうした状況は、まことに日本のバブル経済が崩壊した後の金融危機によく似ており、一体いくらの不良債権を抱えているのか、バーナンキ議長は当初1,000億$としていたが、最近ではスタンダード&プアーズが2,850億$と損失規模を見込んだものの、楽観的だと見られている。どのくらい住宅価格の下落が進むのか不明なため、損失が確定できないのが実情だろうが、かつての90年代初めのS&L危機の際、1,000億$近い財政資金を投入したことや、日本でも97年の金融危機以降、50兆円を越す税金を投入し、果敢に資本増強を進めたことを思い出すべきときである。
 ところが、ブッシュ大統領もポールソン財務長官も税金の投入には反対しており、事態の解決に向けての動きは弱いといわざるを得ない。流動性の供給や金利の低下ということだけでは解決できなかった日本の教訓を、しっかりと学んで欲しいものである。
 こうした世界的な金融危機は、日本経済にも大きな影響を持ってくることは必至であろう。すでに1$=100円を突破した円高は、おそらくさらに進展することは間違いないし、アメリカ経済の減速もあいまって、輸出主導でもってかろうじて成長してきた日本に対して、短期的には大きなダメージを与えるだろう。日本の株式市場もアメリカに連動して下落をし、先行きに対する市場の不安感は増大している。とくに、食料品や石油製品の値上がりが進んでいる一方で、マクロ経済的にはユニットレーバーコストの低下が続き、需給ギャップの改善が進まず、デフレ経済からの脱却は依然としてできていない。物価の上昇とデフレの並存という、なんとも奇妙な実態が進展しているのだ。ここで不況に突入すれば、スタグフレーションという厄介な事態が待ち受けているのだろうか。

■史上初めての同意人事者からの事前ヒアリング
 こうした難局に直面しているとき、政府は3月7日になって、19日で切れる日銀総裁と2名の副総裁の同意人事案を国会に提示してきた。翌8日、衆参の議院運営委員会の場で、史上初めて3人の候補に対する意見聴取と質疑がなされ、民主党は武藤総裁候補と伊藤隆敏副総裁候補を同意しないことと決定した。その理由は、いろいろ指摘されているのだが、要約すれば、武藤候補については財務省の事務次官から日銀の副総裁に就任するとき、かつての”たすきがけ人事”復活の布石ではないか、という財金分離の立場から民主党は反対しており、この間の財務省の政策はもとより、日銀の金融政策や経済政策についての問題点について、しっかりとした納得できる解答が得られず、日銀の独立性を確保しうるかどうか、心許ないことがあげられようか。伊藤隆敏候補については、インフレターゲット論者であり、経済財政諮問会議のメンバーとして格差拡大路線に忠実であったという事だろうか。いずれにせよ、参議院の本会議で武藤、伊藤候補については同意されなかったのだ。3月19日まであと数日、17日に出直しの人事案が提示される。このような世界的な金融危機といえるような情勢の下で、日銀総裁の不在だけはなんとしても避けなければならない。政府側の努力とともに、民主党としてもここはしっかりと腹をくくる必要がある。

■政府は正式な修正協議の提案を行うべきだ
 それにしても、参議院での予算関連法案の審議は、いつになったら始められるのだろうか。3月31日という予算関連の日切れ法案(この中にはガソリン税などの暫定税率も含まれている)のデッドラインは迫ってきている。法案に対する修正協議に政府・与党側は本気でやる気があるのだろうか。どんな場で、誰が、いつまでに、どんな修正をするのか、正式な修正協議の本格的な提案がなされなければなるまい。その前に、当然のことながら法案が審議される財政金融委員会が開催され、しっかりとした審議がなされなければならないと思うのだが、あまりにも時間がなさ過ぎる。






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3月10日(月)
 
 
■参議院での審議拒否はやるべきではない
 何ということであろうか。参議院でわれわれ民主党が第1党となり、議長や議院運営委員長を担っているというのに、予算委員会を欠席するという事態が続いている。どうやら今週の火曜日あたりから審議に入るようだが、なかなか理解しがたい。国民の支持も得られないと思う。確かに衆議院での予算や予算関連法案を一方的に強行採決をしたことに対する批判であろうが、それなら衆議院で強行採決した直後に、予算委員長や財務金融委員長の解任動議を出して、精一杯の批判の論陣を張るべきで、それが否決されれば参議院での審議に直ちに入るべきだと思う。とにかく、国会というところは議論の府であり、よほどのことがない限り審議拒否をすべきではないことを原則にすべきだ。

■最悪のタイミングだった日銀総裁の同意人事提示
 さて、先週一杯国会が開催されなかったため、焦点は道路特定財源問題から日銀総裁の人事問題に移ってしまったようだ。まず指摘しなければならない問題点は、与党側の不手際で人事の提示が3月7日というぎりぎりのタイミングで提示されたことであろう。3月19日が現在の福井総裁の任期なのであり、それまでの時間はわずか12日間しかない。しかも、予算や予算関連法案を強行採決した直後で、国会審議が与野党の対立で空白になっているという最悪のタイミングであることに一番の問題があるのだ。時間が足りないし、与野党が国会で一番対立しているさなかの提示というお粗末さに対して、政権の統治能力を問題にしなければなるまい。さらに、提案された総裁候補が元財務省の事務次官である武藤副総裁であり、民主党が前回の副総裁人事で反対をしてきた人物であり、前回以降条件が変わったのか、という点では何も変わっていないのであり、反対せざるを得ない人選になっていることである。

■評価すべきは、同意人事の前の所信表明と質疑の制度化
 ただ、今回の同意人事のあり方については大きく改革がなされたことは評価したい。それは、同意すべき人事の関係者を議院運営委員会に呼んで所信を聞き、その上で各党から質問を出し、その内容について議事録を公表しそれに基づいて判断ができることになったことである。参議院での与野党逆転という新しい事態の下で、ようやくこのような同意人事のあり方ができるようになったのである。それ以前は、同意すべき人材の履歴だけが提示され、それに基づいて判断するしかなかったわけで大変な改革が進んだといってよい。
 同意人事の対象は日銀総裁だけではない。副総裁の2名についても任期が満了となるため、一人は日銀出身で京都大学の教授をされている白川方明氏、そしてもう一人が東京大学教授で経済財政諮問会議の民間委員をされている伊藤隆敏氏である。いずれも大変重要なポストであり、総裁同様今度の議院運営委員会での審議の対象となる。とくに伊藤隆敏氏については、インフレターゲット論者であり、経済財政諮問会議のメンバーであるだけに、同意することについては問題があると思う。今週中には人事の決定のための本会議が開催されるし、その前に財務金融部門会議で日銀人事についてのとりまとめをすることになっている。しっかりと論議をし、責任ある決定をしていきたい。
 政府・自民党内では、民主党が反対して武藤総裁候補が否決をされても、武藤総裁案を再提示してはどうか、という案もあるやに聞く。でも、それは無責任な提案だと思われる。やはり、一度否決をされれば次善の候補者を提示すべきであろう。あってはならないことだが、万が一総裁が空白になったとしても、その責任は政府与党側にあることは言うまでもない。世界的な金融不安の中、日銀総裁が空白になることはきわめて問題なのだが、この間の政府与党側の無責任な対応こそ批判されるべきであろう。

■本当に修正協議ができるのか、道路特定財源問題
 先週は、8日には福岡市で、9日には函館市でいずれも道路特定財源問題についてのシンポジウムやタウンミーティングが開催され出席した。どちらの会場でも真剣な論議がなされ、関心の高さを知ることができたのだが、肝心の国会での論議がようやく参議院に移ってきたというものの、審議に充当できる時間は極めて少なく、どんな修正協議がなされるのか、まことにお寒い状況になりつつある。せっかく衆参の議長の斡旋によって、参考人招致や公聴会などしっかりとした論議が求められているわけで、安易な対応は許されない。がんばっていきたい。








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3月3日(月)
 
 
■ますます混迷の度を深めた与党の強行採決
 国会は、衆議院で平成20年度予算案と関連した税制改正法案などを、民主党など野党の反対にもかかわらず強引に可決させた。その結果、とりあえず予算案だけは年度内に、参議院での議決の如何にかかわらず、30日たてば成立することにはなったものの、税制改正などを含めた予算関連法案については、1月29日の衆参議長の斡旋を、事実上与党側から否定するような強硬姿勢をとったため、民主党をはじめ参議院で多数を占める野党側は、ますます強硬姿勢を貫こうとする姿勢を強めている。と同時に、3月19日で任期が切れる日銀総裁の後継人事をめぐっても、民主党は態度を硬化させており、政府側が予定していたとされる武藤副総裁について反対せざるを得ないことを小沢代表は明言されている。事態はまったく不透明な状況に立ち至ってきており、政局はイージス艦の漁船衝突事件における防衛省の対応の無責任さや情報操作問題など、石破防衛大臣の責任問題にまで発展しつつあり、3月末をにらんだ与野党の戦いはいよいよ正念場を迎えてきた。

■本来は、日銀総裁人事は政局の材料にすべきではない
 もっとも小生は、日銀総裁の人事問題は政局の駆け引き材料にしてはならないし、総裁の空白を作ってはならないと主張してきただけに、小沢代表の発言に対してはやや戸惑いを感ぜざるを得ないのではあるが、土台ここまで後継総裁の人事提案が延びてきたこと自体が政府与党側の責任なのであり、任命権を持たない民主党の責任とはいえないことは言うまでもない。与党側は一刻も早く後継総裁の氏名を提示してくるべきで、事態はそこからしか動かないのだ。
 一刻も早く日銀総裁を決定すべきだ、という主張をする背景には、言うまでもなくサブプライムローン問題の露呈以降の世界的な金融不安があることは言うまでもないし、アメリカ経済はFRBの更なる政策金利の引き下げによってドルの下落に拍車がかかり、それが又原油価格の高騰をもたらすという悪循環が動き始め、最悪の場合スタグフレーションに陥るのではないかと懸念されているのだ。しかしながら、そうした一般的な情勢からだけで急ぐべきだ、と主張しているのではない。

■いつ勃発してもおかしくない、中東大戦争の危機
 実は、国際政治・経済情報の専門家の一人である田中宇氏の最新のメールニュース(http://tanakanews.com/)が3月1日送られてきた。そこでは、いよいよ中東大戦争が勃発する危険性を警告しておられるのだ。その記事によれば、イスラエルに対するガザ地区からのロケット弾の砲撃によって死者が出たことから、パレスチナに対してイスラエルの報復のための地上軍攻撃が、ここ数日以内に必至になりつつある。イスラエルのバラク防衛相は「ガザ侵攻はいまや現実策となっている」と表明したし、国防次官は「(ガザの人々は)ホロコーストを経験することになる」と発言し、これを聞いたハマスは「やはりイスラエルは新しいナチスだったのだ」と反論しているという。もしガザへの侵攻が始まれば、確実にレバノンのヒズボラとも戦争になり、イランやシリアにも戦線が拡大し、イスラエル国家が消滅するまで戦争が続く可能性があるという。もっとも、その前にアメリカや国連などが動くわけで、必ずしも一直線にそうなるとはいえないかもしれないが、危機はそこまで来ているということは間違いなさそうである。その際、この戦争によってアラブ産油国(GCC)のドル離れを招き、ドルは基軸通貨としての地位を失墜する危険性も指摘されている。そうなれば、国際的な大変動に見舞われるわけで、金融危機が大きな問題になることは必至である。それだけに、狭い党派間の争いにかまけていると、世界的な大変動に対処できなくなることは間違いない。

■国際社会の動きにもしっかりと目を向けよう
 もっとも、このような大変動が起きれば国内政治もその対応に迫られるわけで、危機的な状況の下ではいわゆる「大連立政権」の樹立も視野に入れておかなければならないことはいうまでもない。もちろん、そのような事態が起きないことを祈っているのだが、この間のパレスチナとイスラエルを中心にした中東の動きを見ていると、必ずしも田中宇氏の見方が、間違ったガセネタであるとはいえないように思われる。当面、国内政局だけに目をやっていると、このような国際的な大地殻変動に対処できなくなるわけで、視野を国際社会にもしっかりと向けていく必要がある。






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