2007年12月のニュースレター:[以前のニュースレター]
 
 
12月25日(火)
 
 
■参議院の与野党逆転こそ2007年のトップニュース
 2007年も終わろうとしている。政治における今年一番のニュースといえば、やはり参議院選挙での民主党の大勝、自民党・公明党の敗北によって、与野党が逆転したということだろう。たしかに、これまでの歴史の中でも、参議院が与野党逆転したことはあった。1989年と1998年であり、その時には参議院で首班指名選挙が実施され、社会党の土井たか子さんと民主党の管直人さんが、参議院では総理大臣に指名されたものの、議長や議院運営委員長は自民党の下にあったわけで、文字通り与野党逆転して「参議院の権力」を掌握できたのは初めてのことであった。
 当然これだけの敗北の責任を取って安倍総理は辞任すると思いきや、続投を決断するものの、所信表明に対する各党の質問の直前になって辞職をするという前代未聞の珍事となり、後継には福田総理が選出され、途中で大連立政権の動きがあったものの、その後民主党代表辞任騒ぎも沈静化し、表面的には平穏に今日に至っている。

■何を目指されようとしているのか不明瞭、福田総理
 さて、福田政権は何を目指そうとする政権なのか、まったく良くわからない、というのが多くの国民の印象ではないだろうか。小泉総理は強烈な個性で持って市場原理主義による改革を目指そうとしたし、安倍総理は「戦後レジームの転換」という、やや時代がかった構想をぶち上げたものの、年金記録問題や閣僚の失言問題など相次いだ不祥事によって沈没してしまったのだ。背後には、小泉改革によって日本の社会の安心・信頼を作り上げていた制度や慣習が崩壊し始めており、国民生活も破壊寸前に追い込まれ始めていることがあったことも指摘しておく必要があろう。
 そうした中で、跡を継いだ福田総理の国民に対するメッセージはまことに不明瞭極まりない。そのことが今回の予算編成に良く現れているのではないだろうか。いったい、今の日本社会の抱える課題が何であり、参議院選挙で国民の示した民意は何であり、どのように国民の抱えている課題に答えていくべきなのか、まことに不明確なものになっている。

■弥縫策に終始する08年度予算案、補正予算案
 今回の本予算と同時に、補正予算を組んでいる。その中では、農業において500億円もの補助金を農家にばら撒こうとしている。明らかに、民主党の戸別農家に対する1兆円の直接支払い制度に対して、次の解散総選挙に向けての対処方針以外に考えられない。また、来年度の社会保障財源に対して、75歳以上の後期高齢医療保険の自己負担について引き上げを、一年だけ凍結したことも選挙対策以外に考えられないのだ。もし、本気で医療をはじめとする社会保障財源について見直しをするのであれば、経済財政諮問会議で論議をし、決定してきた「基本方針2006」で示された、今後2011年までの社会保障費、毎年2200億円のカットという政策全体を、見直ししなければならないはずではないだろうか。
 地方に対する対策についても同じことが言えよう。今回の参議院選挙での敗北の最大の要因が地方の反乱だということは間違いない。29ある参議院の一人区の選挙で民主党が圧倒的に勝利したことの背景には、三位一体改革の中で地方交付税の5,2兆円の削減が大きく響き、とくに法人2税の伸びが大きかった東京や愛知などに比べて、経済力が乏しい地方にとって、まことに残酷な財源カットを押し付けてきたのだ。そこで出てくるのが、抜本的な格差是正改革ではなく、東京を始めとする法人2税の税収の多い都府県から、4000億円を調達し、それを地方にばら撒こうとしたり、「ふるさと納税」と称して参議院選挙に向けて大々的に宣伝したものの、ふたを開けてみれば、地方税の寄付金を自分の指定するところに寄付ができるもので、地方自治体間のやり取りに終始するものでしかなく、その効果もまことに微々たる物でしかない。まさに弥縫策以外の何者でもないのだ。こんな戦略的な発想の乏しい予算をこれまで見たことはない。それだけに、この予算案に対するわれわれの対応も、厳しくならざるを得ないのだ。

■山本孝史参議院議員に心よりのお悔やみを
 そんなことを考えていたとき、参議院議員で年金や社会保障問題の専門家でもあった山本孝史さんの訃報が舞い込んできた。一緒に年金制度改革や税制改革などを議論していた仲間であり、未だ58歳という若さであるだけに、まことに残念でならない。5年前に同じく亡くなられた今井澄参議院議員と同じく、ガンに侵されたことを国会の議場から告白され、ガン対策基本法の制定に尽力されたことも忘れてはならない。心よりご冥福を祈りたい。合掌。







line
12月17日(月)
 
 
■歴史は繰り返す、14年ぶりの越年国会へ
 ついに越年国会となった。思い起こせば14年前、細川内閣が誕生し、小選挙区制度を導入する政治改革法案が、参議院での自民党の激しい抵抗のなか、予算編成を取るのかそれとも政治改革法案を取るのか、厳しい選択を迫られる中、政治改革を選択し越年国会となった。当時も衆参のねじれが問題を深刻にしたことが思い出される。歴史は繰り返すのだ。
 来年の1月15日まで延長となるが、16日民主党大会、17日自民党大会、そして18日には通常国会が開会となる。まさに、通年国会である。いつ解散総選挙になってもおかしくない。まさに常在戦場である。
 今国会での最大の争点は、テロ特措法に変わる給油新法がいつ参議院で否決され、衆議院に送付し3分の2の議決でもって可決するのかどうか、という点に移っている。衆参のねじれが始まって初の対決法案の採決事例となるだけに、前例として重たいものになる。

■通常国会最大の対決課題は予算関連法案だ
 というのも、次の通常国会での対決法案は、今のところ来年度予算と税制や特例公債など予算関連法案になることは必至である。なるほど予算は憲法の規定によって衆議院の決定が優先され、衆議院での議決があれば参議院での採決にかかわらず30日で自動的にパスしてしまう。ところが、予算関連法案はあくまでも法律であり、衆議院で通っても参議院で反対すれば、3分の2条項によってしか通らなくなってくる。しかも60日ルールを適用しようとすれば、衆議院で予算よりも早く予算関連法案を提出して議決しておかなければ、3月31日の日切れを前に法案が通らなくなり、例えば道路特定財源の中でも揮発油税や軽油引取税などの暫定税率は、自動的に廃止され歳入減となることは必至である。
 こうした背景の中で、与党の税制改革大綱が決定され、予算は20日に財務省原案、24日には政府の来年度予算案が確定することとなっている。一方で、民主党の税制改革案について、道路特定財源や証券優遇税制、さらには、法人2税の地方間調整や所得税の配偶者控除、扶養控除のあり方などで与党側と根本的な違いが生じてくる。問題は,日切れ法案となる道路特定財源である揮発油税や軽油引取税などの暫定税率の取り扱いである。民主党は党内的にはいろいろと意見はあるものの、間違いなく一般財源化して暫定税率廃止の方向になる。他方、与党側は今後10年間、道路特定財源については、特定財源維持と同時に暫定税率維持を打ち出している。特例公債であれば、3月31日までに通らなくても、暫定的に短期国債で調達は可能であるが、道路特定財源については3月31日を過ぎると暫定税率は適用されなくなり、自動的にガソリンで言えば25円近く値下げとなる。その分歳入欠陥を起こすのだ。その後値上げをするとすれば、再び価格が一気に元に戻る。国民生活に大きな影響が出るだけに、真剣に対応することが求められる。まさに、解散総選挙を背景にした激しいつばぜり合いが展開されることになる。              

■道路はなぜ「聖域」か、租特も見直し透明化を
 果たして、道路がこれまで同様特定財源として、毎年約6兆円という膨大な財源を、10年間に亘って確保し続けることが必要なのかどうか、この機会に考えてみる必要がある。もう道路は必要ではない、といっているのではない。今でも毎年道路関連と称して数千億円、さらには道路以外に1800億円近い金額が余りはじめているのだ。道路公団を民営化するとき、これからは高速道路の建設には特定財源から税金を投入しない、としていたことにも反する方針が出ているのだ。社会保障関連の財源は毎年2200億円、国費ベースで削減され続けることになっている。とんでもないことだと思うのだが、道路だけは聖域だ、ということでは人の命と道路とでは、どちらに緊急性があるのか、自明のことではないだろうか。
 それにしても、企業関係の租税特別措置を検証してみたとき、何故必要なのか、どんな効果があったのか、あまりにもあいまいなものが多すぎる。さらに、利益を上げている企業だけがその恩典に浴するというまことに不公平な制度なのだ。それでも、各業界や各省庁が自民党の族議員と一体になって声高にその必要性を叫び続けている。政官業の癒着の構造が、依然として跋扈しているのだ。ここにもしっかりとメスを入れて行きたい。






line
12月10日(月)
 
 
■会期延長はいつまでか、越年国会か
 国会は、いよいよ最終盤に差し掛かってきた。給油新法は、先週から実質審議に入ったものの、山田洋行や守屋逮捕に関連した問題をめぐる解明も求められており、15日の会期末までに終わることは不可能である。そこで、会期の延長巾が最大の焦点になりつつある。というのも、臨時国会では2回しか延長は認められず、今回の延長が最後の機会となる。来年1月12日で参議院に送られて60日を経過することになり、採決が行われなければ否決したとみなす憲法の規定によって、衆議院で3分の2の議決で法案を可決するという道を与党は模索し始めている。民主党の北沢外交防衛委員長は、40時間近く審議すれば採決をすることを記者団に明らかにしているものの、国対委員長は越年もありうる、と牽制しており、虚虚実実の駆け引きが展開されている。
 参議院として60日間採決をしないで否決されたものとみなされることは、ある意味では自殺行為であり、常識的には年末までに採決が行われ、否決を受けて衆議院での3分の2を行使することになるのか、それとも、参議院で否決されたあとで開催される両院協議会で、法案の修正協議などがなされるのか、まことに注目に値する。是非とも機械的な対応にならないよう、議会が国民の期待にこたえることができるよう、お互いに全力を尽くすことが求められよう。

■福田総理の姿が見えない、来年度予算編成
 さて、国会の動きと平行して、来年度の予算編成作業が進められている。12月13日に自民党の税制調査会が来年度税制改革案をまとめ、予算全体は20日に財務省原案が策定され、24日に閣議決定が予定されている。福田内閣としての予算編成に向けてのメッセージは、まことにあいまいである。その典型例が道路特定財源問題である。昨年の閣議決定された道路特定財源の一般財源化について、道路に使ってあまった2000億円前後を一般財源に使うこと、だけにとどまらず、これまで5年間で見直しがされていたものを10年間に延長して存続させ、65兆円もの大金を道路に使おうという無茶苦茶な原案を国土交通省は提起してきた。あまりの道路財源の突出に対して、6兆円が減額されたものの、これでは、国滅びて道路栄える、となるわけで、再び無駄な事業が拡大し始めているのだ。この間、福田総理のリーダーシップは発揮されず、何をしたい内閣なのか、お粗末極まりない。

■とんでもない租税特別措置の現状
 他方で、われわれ民主党も税制改革協議を進めてきており、小生も会長代行としてその作業に従事している。そのなかで、租税特別措置について、とりわけ企業関係租特を洗い直した結果が、12月8日の朝日新聞の朝刊に詳しく報道されている。減税を要求しているのに、その積算の根拠や延長要求するに際して、その成果の分析がまったく不十分でしかない。こんな要求がこれまでまかり通っていたのは、自民党と官僚と業界団体との癒着の構造が出来上がっていたからだ。参議院で与野党が逆転したことから、初めてこのようなひどい実態があぶりだされたのだ。今後とも、徹底的に国民が良く見えるよう改革を進めていきたい。

■注目したい、自民党財政改革研会長与謝野氏の発言
 そうした中で、12月9日の朝日新聞「耕論」欄で、「なぜ今、再配分政策なのか」について、自民党の与謝野財政改革研究会会長の、以下の引用した発言に注目したい。
 「経済の論理が政治の論理より前に出ていたから、経済活力を取り戻すため格差拡大が是認された。だが、東京など一部地域や富裕層に富が集中するだけでは全体の需要増、成長には結びつかない」「米国は減税など金持ちを元気にすれば貧しい層にも富が滴のように落ちるという政策をとったが、中流層を含めて大半の人の所得は減った。日本は国民全体を底上げするような新しい成長モデルを考えるべきだ。所得税の最高税率や相続税を上げて負担能力のある人にはもう少し負担してもらい、一方で、最低賃金の引き上げや公教育の拡充とも絡めて再配分政策で底上げを目指す」「官から民へ、国から地方へという改革は必要だ。だが、従来は市場原理主義を掲げてただ壊すだけで、政治が何のためにどういう社会にするかという絵図を示しきれなかった。弱者への配慮や格差是正は政治の役割だし、勝ち組と負け組みに二分化する社会にすべきではない。面倒見のいい政治の幹事役として、会費を集めなければいけないのに厳しいことを言えず、不足分を借金でまかなってきたが、国民にも自分たちの安全のために会費をお願いするということだ」
 まことに正論ではないか。民主党こそがこの立場に立たねばならないのでは・・・?








line
12月3日(月)
 
 
■つらい決断を迫られた先週の財政金融委員会
 さて、先週一週間は参議院の財政金融委員会が、国会の一番の焦点になった委員会となり、財政金融委員長としてつらい決断を迫られた一週間になってしまった。
 先週号でも触れたように、額賀財務大臣に対して守屋前防衛事務次官の口から宮崎専務らと会食をした宴席に出席していたとの証言が得られ、民主党の調査でも宴席に出たとの証言があったことを受け、出席したことがないという額賀財務大臣の発言との食い違いを明らかにするために、議院証言法にもとづく証人喚問の議決をするかどうかが問題になったのである。まさに、国政調査権を発動して証言を求めようとしたものである。
 これまで国会での証人喚問については、全会派一致での議決を原則にするよう努力してきた経緯もあり、しかも現職の財務大臣を証人として召喚するということはあまり前例もない中での決断が求められたのである。参議院の財政金融委員会での現場の理事なども、本当に宴席に出席していたという情報源は、間違いないのか、第二のメール事件になる危険性は無いのか、できれば守屋氏は証人喚問でも良いが、額賀財務大臣は守屋証言の直後に参考人として質疑をすればよいのでは、という考え方を出したものの、民主党の役員会や三役会などでの決断として、二人の証人喚問を断固やるべし、というものであった。委員長の私も、先ほどの現場の方たちの案について打診され、一番それが妥当なのではないか、という意見で一致していただけに、民主党全体の決定にはやや違和感を持ちつつ決断を迫られたのが、委員長という立場から見た真相である。その決断の背景に何があったのか、また、新しい情報源が守屋前事務次官のものであると聞かされたとき、これでは新しい証言とはならないではないか、とやや驚いた次第であった。
 それでも、11月26日の理事懇談会で、翌日の理事会と委員会の開催が決定できるよう委員長の職権で設定したものの、できれば与野党がよく話しあって何とか円満に進められないか、という思いはあったが、民主党決定の勢いに押されてしまった。と同時に、検察側は、一斉に「守屋前次官を今週中に逮捕へ」という内容をリークしたわけで、民主党としては、検察側からの国政調査権に対して挑戦状をたたきつけられたと受け止められ、ますます態度が硬化してしまったといえよう。こうして、11月27日に断続的に開かれた理事懇談会を開催する中、民主党から宴席に出たと証言した人物が守屋前次官からのものであった、という記者会見を実施した直後、両者の食い違いを明らかにして欲しい、という国民の声にこたえるために委員会を設定して、額賀、守屋両氏の証人喚問を12月3日に実施することを、与党側が出席しない中、出席者全員の賛成で持って決定したのである。

■マスコミの論説が大きな力を発揮したのでは
 翌日以降、マスコミの論評がいろいろと出てきた中で、一番大きな衝撃をもって受け止めざるを得なかったのが朝日新聞の社説であったと思う。やはり、一番重要なポイントをついており、世論の流れがこれで変わり始めるのではないか、と思わざるを得なかった。そのことは、野党側の中にも衝撃が走り、共産党は、証人喚問は全会派一致という原則を破ったのは誤りであった、という自己批判を記者発表するなど野党共闘はうまく機能しなくなってしまったのだ。ちょうどその直前に、守屋逮捕が実施され、それを受けて理事懇談会を開催し、二人そろって喚問することに意義があったのであり、一人だけではその意味はなくなる、それゆえ、12月3日の証人喚問は中止する、と決断せざるをえなかったのである。

■またしても問われた、民主党の危機管理対応能力
 結果として大きな勇み足をしてしまったのであり、財政金融委員長としてその責任の重さを痛感していることは間違いない。ただ、これだけ大きな国政調査権の発動に対して、民主党の危機管理対応能力が、依然として不十分であることに不信感を持たざるを得ない。そのことは、国民が民主党に対する不信感を持つことなのであり、まことに危機感を強く持たざるを得ないのだ。小沢代表は、今回の出来事に対して、鳩山幹事長以下に任せられたのだろうが、できれば直接指導すべき局面ではなかっただろうか。
 また、検察・司法に対しても大きな問題がある。国権の最高機関である国会が議決した証人喚問者に対して、堂々と逮捕をしても国会には何の報告もないのだ。国政調査権と刑事調査権との関係について、しっかりとした議論が求められているのだ。ちょうどこの問題が議論されているさなか、一橋大学名誉教授で憲法学の大家であられる杉原泰雄先生から激励の電話や資料などをいただいた。これからの国政調査権の充実・強化に向けて、がんばっていきたい。







line