2007年9月のニュースレター:[以前のニュースレター]
 
 
9月25日(火)
 
 
■ 福田総理の誕生、憲政史上初めての親子2代の総理誕生へ
 ようやく新しい自民党の総裁が決まった。自民党の福田新総裁は、25日の首班指名選挙で総理大臣に選ばれることは間違いなく、ここに日本の憲政史上初めての親子2代の総理大臣の誕生となる。父親の福田赳夫氏が総理大臣になったのが71歳、奇しくも息子さんの福田康夫氏も71歳というのも因縁めいたものを感じる。新総裁は1990年の総選挙で、53歳で初当選され、遅咲きの政治家であり、その分社会人としての経験が長かったわけで、前任の安倍総理に比べて安定感があると思われる。
 それにしても、安倍総理の突然の無責任極まりない辞任というハプニングをうけて、国会の空白期間を作ったことは間違いなく、自民党全体の責任はまことに重いものがある。おそらく今後の政治日程は、25日首班指名と同時に内閣の組閣、28日福田新総理の所信表明、10月1日からようやく衆参本会議での代表質問という流れになるだろう。ちょうど3週間遅れてしまったわけで、今国会はおそらく11月10日までという会期の大幅な延長は必至であろう。言うまでもなく、テロ特措法の延長はほぼ不可能で、そのためインド洋での給油活動ができるように「新法」を提出するものと思われる。もちろん、その法律の制定自体も、参議院で民主党など野党が反対するわけで、再び衆議院での再議決3分の2の賛成で持って可決できるというきわどいものであり、事と次第によっては解散、総選挙にもつながりかねない状況すら予想されている。

■ボールは民主党にも投げかけられている
 もちろん、総理大臣が変わり、福田新総理の政治姿勢が民主党との話し合いを強調されている中で、どのような与野党協議がなされるのか、民主党側にボールが投げ返されているともいえる。ここで一気に問答無用で解散総選挙に持ち込むということも考えられるのだが、話し合いを提起されて、それに応じない対応が取れるのか、ここは国民世論の動向を良く見ていく必要があろう。とくに、今回の参議院選挙での自民党の敗北の原因、言葉を変えれば民主党の勝因がどこにあるのか、ということを無視することはできない。自民党の敗因は、直接的には年金記録問題であり、政治家と金の不祥事や任命された大臣の失言といったスキャンダルが加わったことは間違いない。より根源的な原因は小泉改革5年半の結果、地域経済が崩壊し国民の間の格差の拡大が、深刻な社会問題として露呈していることへの怒りの声が顕在化したものといえよう。

■民主党のマニフェストのブラッシュアップを
 それだけに、国民に対して今国会での論戦は、このような5年半に及んだ小泉改革のもたらした問題点をしっかりと取り上げ、民主党の提起したマニフェストと自民党のそれとを対比して、どちらがこれからの日本にとって正しい進路なのかをしっかりと戦わせることだと思う。そのなかから、民主党の提起しているマニフェストも財政の裏づけをはじめとして、まだまだブラッシュアップしていかなければならない点も出てくるわけで、次の衆議院選挙に向けての、まさに血みどろの政策論戦を戦わせていく必要があるのだと思う。こうした論戦の中から、年金制度や税制改革問題など与野党間で合意できる問題については、堂々とオープンな形で与野党協議に入ることも考えてよいのではなかろうか。
 一方、与野党が逆転した参議院での委員会での審議に当たっては、国政調査権を発動してでも立法府・国会としての民主的な機能をより高めていく必要がある。これまでは官僚制度によって、立法府・国会が機能不全に追い込まれていたことの改革をはじめ、民主党が参議院で第1党になったことに伴い、ここまで改革が進められ国民にとって透明度が高くなるようにすることも不可欠であろう。このような努力があいまって、民主党に衆議院選挙でも勝利させ、政権を委ねてみよう、という国民の声を作り上げていく必要があるのだ。

■露骨な党三役人事、派閥の領袖による党運営へ
 それにしても、麻生候補への197票と言う結果については注目しておく必要があろう。とりわけ、大都市部での麻生票が福田票よりも多かったわけで、大都市部と地方とのギャップを自民党は抱え込んでいるし、国会議員票での善戦については、ナショナリズムへの傾斜がかなり進んでいることの現われなのかもしれない。また、自民党の新しい人事については、露骨な派閥の領袖による連立内閣の様相が色濃く出ている。国民はどのような目でこの事態を見ているのだろうか。新内閣の陣容を含めて、世論調査の結果が待たれる。






line
9月18日(火)
 
 
■まことに無責任極まりない安倍総理の辞任劇
 いよいよ国会が始まり、総理大臣の所信表明演説が行われ、いよいよ野党側の代表質問に入ろうとしたその直前になって、安倍総理大臣は辞任することとなった。たった2日前、オーストラリアにおいてテロ特措法の延長問題について、総理大臣の職を賭して油の補給活動を実施できるよう努力したい、という決意を表明したばかりのこともあり、あまりにも突然の辞任表明に、あいた口が塞がらないとはこの事をさすのであろう。今まで15年間の国会での歴史を振り返ってみても、このような辞め方をした政治家はいない。細川内閣の時には、自らのスキャンダルの追及に対して突然職を放り出したという印象はあるが、それでも辞任と引き換えに予算の通過を実現させており、今回のような職責放棄とも言うべき無責任さはそれほどなかった。村山総理の辞任については、それ以前から辞職の動きがあったし、連立を組むにしても少数の政党の党首には総理のいすは重すぎたのかもしれない。
 どうやら安倍総理は健康状態が優れなくなっていたようであり、与謝野官房長官はその点について記者団に実情を語っていたのだが、本人の口からは一切触れられず、民主党の小沢代表に党首会談を申し入れたが受け入れてもらえなかったことや、自分が総理であることが障害になっているのでやめることで事態を切り開いてもらいたい、などと7月29日の時点で自ら責任を取ってやめておけば済んだものが、この時点での記者会見の内容についてはあまりにも身勝手で無責任極まりない言い草といえよう。後世の歴史家は、安倍総理の辞任劇について、あまりにも国民を愚弄した総理大臣として永く記憶にとどめるに違いない。

■墓穴を掘った麻生幹事長の安倍続投支持路線
 問題は、安倍総理の辞任の意向を早くから知っていたのが麻生幹事長であり、第二次安倍内閣の組閣に当たっても、麻生幹事長の意向が強く打ち出された内閣とも言われており、安倍総理が参議院選挙で大敗しながらも安部総理の続投を早くから支持してきた責任も含めて大きな責任を感じるべきだ、という批判が自民党内で強く沸き起こっており、福田康夫元官房長官との一騎打ちとなった後継総裁選挙でも、麻生支持の声は弱く、福田圧勝の勢いという。問題は、誰が次の総理になっても参議院での民主党を中心にした野党勢力は磐石であり、民主党とどのような関係を築いていくのかが大きな争点になることは必死である。それとともに、自民党をどのように立て直していけるのか、次の解散・総選挙で自民・公明両党が過半数を確保できるのかどうか、われわれ民主党としても、誰が、何をするのかしっかりとウオッチしていく必要がある。
 それにしても、9月10日から始まった国会も、事実上9月23日までは自民党の総裁選挙のために空転してしまった。おそらく9月25日以降になって初めて安倍内閣総辞職、新総理大臣の指名選挙から組閣に至り、早くても新総理大臣の所信表明演説は9月末か10月初旬となり、実に3週間近い空白期間が費やされたことになる。もっといえば、7月29日に辞任を表明していれば、もうすでに新しい内閣の下での論戦が始まっていたはずなのだ。まことに国民の期待を裏切り続けた安倍総理や、安倍総理の続投を追認してきた自民党の責任は、まことに重いものがあるといわざるを得ない。この間、アメリカのサブプライム問題に端を発した世界的な信用不安の流れや、北朝鮮問題に関連した6カ国協議の再開など多くの問題が露呈しており、しっかりとした論議が国会で行われる必要があることは言うまでもない。

■政治は可能性の芸術であることの実現を
 そんな苦言を呈していても事態は好転することはないのであり、民主党としては、次の総理に誰がなろうとも、参議院選挙で示された民意を背景に、国会での与野党が参議院で逆転したことを受け、議員立法を提起し参議院を賛成多数で通しながら衆議院に送り込んでいくし、これまで自民党が反対してなかなか発動できなかった国政調査権も、野党側の力を結集して国民生活にとって不可欠なものは、どんどん発動していくことになろう。もちろん、参考人や場合によっては証人喚問なども、必要とあれば要請していくことになることは言うまでもない。立法府の活性化であり、国権の最高機関としての内実を実践していくことに他ならない。いろいろなアイディアも、私が委員長を務める財政金融委員会の中で改革すべく持ち込まれており、それらの実現に向けてがんばりたい。まさに、政治は可能性の芸術にしていかなければならないのだ。







line
9月10日(月)
 
 
■いよいよ臨時国会だ、財政金融委員長に就任予定
 いよいよ国会が始まる。参議院で与野党が逆転したのは今回が初めてではない。今から9年前も、自民党単独では与党が少数に転落し、民主党の菅代表(当時)が参議院では総理に指名されたものの、翌年には自由党と公明党が与党に統合され、再び衆参でのねじれは解消に向かったのだ。よくよく考えてみれば、当時は負けたといっても自民党は参議院では第1党の地位を確保していたわけで、今回のように民主党が自民党と公明党をあわせたよりもはるかに多くの議席を確保していることが大きく異なっているのだ。
 そのことは、選挙後の臨時国会で、参議院で民主党の議長が誕生したことや、議会運営のキャスティングボードを掌握する議院運営委員長も、民主党が確保したことを見てもその違いは明らかであろう。いよいよ本格的な論戦の始まる臨時国会を前にして、参議院での残る委員会の委員長をどちらが掌握していくのか、大変な時間がかかる中、先週の金曜日に結論が出された。焦点になっていたポストは参議院予算委員会の委員長人事であり、結局自民党側に譲歩した形となってしまった。後のポストは民主党の言い分がとおり、今後の重要な法案が集中する委員会の委員長をきちんと確保することができた。とくに、年金流用禁止法案などを審議する厚生労働委員会や、テロ特措法が審議される外交防衛委員会の委員長などは民主党が担当することとなった。小生も財政金融委員会の委員長への就任を要請された。予算関連法案である税制改革法案や公債発行特例法案などの重要法案はもとより、日銀の人事案件など人事問題でも注目されており、やりがいのあるポストと考え受諾することにした。野党の立場でありながら、国会での委員会が多数を占めるという中で、国会が国政調査権の発動をはじめとして、文字通り「国権の最高機関」としての内実が実現できるよう全力を尽くしていかなければならない。

■民主党・新緑風会114名の研修会が軽井沢で開催
 先週9月3日月曜日、民主党新緑風会114名の研修会が軽井沢で開催された。ジャーナリストの川戸恵子さんとエコノミストの高橋進さんの講演があった後で、小沢代表から1時間にわたって政局というより政策についての講演があった。とくに、テロ特措法に絡んで、日米安全保障条約と国連憲章との関係や集団的自衛権の理解の仕方など、ほぼこれまでの小沢代表の主張がわかりやすく述べられていた。また、日本の議会制度についてはアメリカよりもイギリスの制度について学ぶべきであり、公務員制度などについては政治家との接触が原則として禁止され、議会にも出席しない中で政治家どうしが論戦を交わすやり方に日本も変えたはずなのに依然として直っていない事など主張されていた。

■小沢代表に、2院制の下での参議院のあり方を質問
 質問の時間になったので、小生は手を上げて「小沢代表はかつて日本の二院制度のあり方、とくに参議院について権限が弱いイギリスのようなものにしていく必要があると指摘されていたが、そのことと今回の参議院が与野党逆転した中で、参議院を主戦場として戦うことについてどのように考えておられるのか」という趣旨の質問を行った。それに対して、確かに自分は参議院のあり方については、イギリスのようなものにしていくべきだと中長期的には考えている。そのためには憲法改正や選挙制度も大きく変えていく必要がある。当面は、政権交代に向けて、与野党逆転という有利な情勢の下で自民・公明連立政権の交代を迫っていくために全力を傾けて生きたい、という趣旨の答えだったと記憶している。いずれにせよ、今後の参議院での戦い方は国民の世論の動向なども十分に考えながら、慎重に対応していく必要があることを痛感させられる。今は未だ参議院選挙の民意が民主党を支持した(最も自民党の自滅に助けられたというべきなのか)といえるのだが、これが衆議院の解散総選挙で、万が一自公政権が過半数を上回ってしまえば、民意は自公政権の側にもある、ということで与野党のねじれが固定化しかねない。そのときにはどのように議会を、民主主義のルールに則って正しく運営していけるのか、なかなか難題になってくる。もちろん、次の総選挙で民主党が中心になって野党が多数を占めれば問題はなくなることは間違いない。そのために全力を尽くしていくことは言うまでもない。あまり先走った苦労は考えることはないのかもしれないのだが・・・・。
 いずれにせよ、日本の政治は1993年細川内閣以来の大きな転換点に遭遇しているように思われる。力いっぱいがんばっていきたい。








line
9月3日(月)
 
 
■参議院重視の新しい民主党人事
 暑い8月も終わり、ようやく北海道は秋めいてきた今日この頃であるが、それでもまだまだ残暑は続く。国会のほうも、安倍内閣の新しい組閣も終え、民主党の新しい人事の骨格も固まり、いよいよ10日から始まる臨時国会に、参議院での野党勢力が過半数を超す「ねじれ政局」のもと、与野党の攻防が幕を切って落とされようとしている。政権交代をにらんだ激しい戦いが進められることは必至であり、全力を尽くしていきたい。
 さて、民主党の新しい人事の骨格は、新しい政策調査会長に参議院から直嶋正行議員が選ばれたことと、輿石参議院会長が菅代表代行とともに新しく代表代行に選出されたことが注目されよう。参議院が民主党の中に占めるウエイトが量的にも衆議院と同数に近いだけでなく、民主党の政策をまず参議院で議員立法として通すことができるだけでなく、国政調査権も参議院から突破口を築いていくこともできるわけで、まさに参議院を重視した布陣であり、当然とはいえ評価される点であろう。未だ参議院での委員長ポストの確定ができていないため、次の内閣については決定が今週にずれ込んでいるのだが、ここでも参議院のウエイトを高めていく方向が出されている。まさに「参議院が主戦場」になりつつあるのだ。

■求められる政策論争の中味の充実・強化
 思い起こせば9年前、1998年の参議院選挙でも与野党逆転が一時的に実現したことがあるが、当時は未だ自民党が第1党であり、金融国会で民主党案を丸呑みして乗り切った後で、自由党と公明党を抱き込んで参議院の与野党逆転を解消したわけで、今回のように民主党が第1党を占め、しかも与野党の逆転を簡単には復活することができないほどの大差で民主党が勝利したことが大きい。それだけに、今後の参議院での戦い方が政権交代に向けての大きな試練の場ともなるし、それだけ責任が重いことも自覚しなければならない。とくに、議員立法を参議院から提出した際、法案は参議院だけでなく衆議院に送付され、そこで提案者には自民党や公明党の側からも厳しい質問が浴びせられることは必至であり、相手の背後には霞ヶ関の官僚機構が控えていることも軽視することはできない。それだけ、議員立法提案者の数と質が問われることになるのだ。
 それと同時に、民主党の今回提出したマニフェストの中味が問われることになる。それだけに財源問題を中心に、もう一度民主党のマニフェストをしっかりとブラッシュアップしていく必要がある。また、年金問題についても、制度論でのしっかりとした民主党案をリメイクしていくことも不可欠といえよう。とくに税制改革については予算関連だけでなく、基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる為には安定財源の確保が約束されているだけに、税制改革問題も避けて通ることはできない。もっとも、与党側と民主党を中心にした野党側との政策協議の場ができるのか、またはそのような与党側の提案に対して、それを受けるのかどうか、小沢代表を中心にした国会対策の方針が明確にならなければなるまい。できれば、政権交代を迫っていく以上逃げてはまずいわけで、堂々とわれわれの政策を停止背して論戦を交わしていく必要がある。国民は、まさにそのことを期待しているし、民主主義が活力を生み出していくことにつながるのだと思う。

■どうなっているのか、農林水産大臣のスキャンダル
 それにしても、安倍改造内閣が8月27日発足したものの、またもや政治家と金の問題が火を噴いてきた。しかも、事もあろうに遠藤農林水産大臣が組合長をしていた農業協同組合の保険金に絡んだ不正請求問題だという。問題は3年前に発覚しており、大臣自身もその問題があることを知った上で大臣に就任したという。本人の政治資金の問題も金額は少なかったものの、指摘されており政治家としての責任問題は免れないことはいうまでもあるまい。即刻辞任すべきであり、安倍総理はこの問題で再びグズグズして優柔不断の態度をとれば、国民から完全に見放されることは必至である。即刻罷免をすべきである。
 新しい内閣では与謝野官房長官に注目したい。月刊『文芸春秋』の7月号で本人自身の癌について語るとともに、日本の財政問題について財政健全化とともに税制を根本的に変えていかなければ、年金問題をはじめとする日本の優れた社会保障制度は維持できないことは明白である、と言い切っておられる。この点については小生もまったく同感であり、今後の予算編成だけでなく、経済財政諮問会議での与謝野大臣の発言にも注目したい。
 







line