2007年8月のニュースレター:[以前のニュースレター]


8月27日(月)
 
 
■「脳死状態の安倍内閣」発言でようやく国会が動くのか
 一体いつになったら、政府は臨時国会を開催するつもりなのだろうか。参議院選挙で惨敗を喫しても居直りを決め込み、安倍総理はさっさとインドネシア、インド、東南アジア歴訪のたびに出かけた。経団連会長をはじめとする経済界の重要人物を、250名近くも引き連れての「豪華」な旅行なのだが、なんとも締りのつかない中での旅立ちである。というのも、今月27日に内閣改造と自民党人事の刷新を行うと表明したままであり、国内で残された閣僚は漫然とするだけで、まことに緊張感に欠けた日常なのだ。
 さすがに、小沢代表に「今の内閣は完全に脳死状態だ、国会はまったく機能していない」と批判されたためか、急遽与党側は9月10日から臨時国会を開催する線で検討し始めたようであるが、なんともしまりのない政権になりつつある。この間お騒がせだったのは、小池防衛大臣と防衛庁守屋事務次官の人事バトルであり、結局後任事務次官人事については小池大臣が求めていた警察庁出身者ではなく、守屋氏の辞任と痛み分けという形で収まったのであるが、小池大臣は新しい内閣には参加しないことを安倍総理に伝えたという。小池大臣は日本新党から自民党に移るまでに何回も政党の所属を変えており、「回転寿司政治家」と揶揄されているのだが、とにかくパーフォーマンスだけを意識する政治対応に、ややうんざりさせられるのは小生だけではなかろう。

■世界を震撼させた「サブプライムローン」破綻リスクの拡大
 それにしても、アメリカの住宅ローンのうち低所得者向けのサブプライムローン問題が、世界の金融界を震撼させた。とくに、ヨーロッパの中央銀行は8月13〜14日にかけて、30兆円を上回る資金を緊急に提供したし、アメリカのFRBも公定歩合を下げるなど世界経済の先行きに対する懸念も出始めている。日本については、被害自体が軽微だ、といわれているのだが、実際にメガバンクだけでなく傘下の証券会社をはじめその実態については殆ど明らかになっておらず、深刻さについては不明な点が多い。そのこともあってのことであろう、22〜23日にかけて行われた日銀の政策決定会合では、当初金利を0.25%引き上げるのではないか、と予測されていたのに、金利を現状水準で維持することとなった。被害が軽微であれば、遠慮することなく引き上げればよさそうなものなのだが、全体としてその影響がどの程度拡大していくものなのか、見通せなかったというのが実態であろう。
 サブプライムローンというのは、低所得者向けの住宅ローンなのだが、住宅ローンを貸し付けた企業は直ちにそのローンを金融機関に販売し、買った金融機関はそれを証券化しそれらをさらにミックスした商品を売り出し、高利率でもって販売していたものである。わかりやすくいえば、肉のミンチにするとき、さまざまな種類の肉の中に腐ったものが混じっていても、どこに腐った部分があるのかわからなくなってしまっているのだ。それでも、そのローン商品を格付け会社がリスク評価して売り出すわけだが、その評価自体に対して問題があったのではないか、と厳しく批判されている。ムーディーズだとかS&P等がその批判の対象にされつつある。このようなリスクの高い商品に手を出していたのが世界の金融機関であり、ヘッジファンドなのだ。そのファンドに出資していたのが、日本からも投資信託や金融機関の債券運用なのであり、信用不安が拍車をかけゴールドマンサックスなど超一流の投資銀行ですら危険な状態にあるのでは、といわれている。まさに今後の展開に注目し続けなければならないのだ。一刻も早く国会を開き、全貌を解明していく必要がある。

■核廃絶に向けて全力を
 先週の20〜21日にかけて、日ごろ大変お世話になっている知人の公認会計士の奥様が亡くなられ、葬儀に参列のため上京した。死因は白血病との事、未だ49歳の若さであった。亡くなられた奥様のお父様が、昨年12月に亡くなられ、死因も腺がんという同じような病気が原因との事であった。このお父様は、昭和20年8月に、広島で原爆に被爆をされているとの事であった。原爆による放射線被曝の影響は、世代を超えて受け継がれているのであろうか。ちょうど話題となっている映画「夕凪の町、桜の国」を見た直後だけに、やけにそのことが印象に残った次第であった。核軍縮から核廃絶へと大きな人類の課題を抱えているのだと痛感させられる。世界的に核拡散が進みつつある今日、われわれ現在生きているものの責任は重い。





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8月20日(月)


■猛暑は地球が悲鳴を上げている証拠か
 暑い、猛烈に暑いお盆のひと時であった。日本列島全体が、まるで太陽の直射日光で焼け爛れるような感じだろうか。北海道でも、かつて釧路や根室といった地域は真夏でも25度を越すことはなく、天然のルームクーラーに入っているようだ、といわれていたのが今回は35度を越え、まさに酷暑という言葉がふさわしい日々が続いたのだ。地球温暖化のせいだとは断言できないものの、やはり地球環境が大きく影響しているのだとしか思えない。地球環境問題について、今後ともしっかりと調査・研究していく必要がありそうだ。 さて、このニュースレターも、ついに13日付けの号を休刊させていただいた。10日まで臨時国会が開催され、直ちにお盆休暇に入ったためであり、何年ぶりの休刊になるのか記憶にない。参議院での与野党逆転という大きな転換後の国会のありようについて、今後ともしっかりとウォッチしていくつもりである。

■参議院の与野党逆転の歴史的意義を生かそう
 参議院が与野党逆転したことを受け、大きな変化がおき始めている。内閣総理大臣の指名や予算、条約の批准、国会の会期の決定など衆議院が優越していることを除けば法案については、ほぼ対等で国会の同意人事やNHKの予算・決算の承認などではまったくの対等の立場に立つことができる。法律については、参議院で否決されるか衆議院で可決して参議院に送られて60日間で議決しないときは否決したものと見做して再び衆議院で3分の2の多数で議決できるし、現在衆議院では3分の2の議席を自民・公明両党で占めており、やろうと思えば3分の2で再議決という手段をとることになろう。ただ、何度もこの再議決を繰り返すことは物理的・道義的にできないわけで、あらためて参議院での与野党の逆転によって、国会での対応が質的な転換を求められ始めている。この点について、今後の国会の流れについて考えてみたい。
 内閣総理大臣の指名については、今回は総辞職をしていないので改めての指名選挙はなかった。参議院であらたに当選してきた方たちにとっては、一度も安倍晋三とは書いていない。今後、参議院で総理大臣の問責決議が出され、それが可決されれば法的には居座れるものの、問責決議が可決された総理大臣の下では、事実上、国会運営は不可能になる可能性が大きい。そうなれば、解散総選挙になるのか、それとも内閣総辞職となりあらためて総理大臣の指名に移ることになる。衆議院での指名が優先するので自民党の次期総裁が就任することとなろうが、事実上は選挙管理内閣に近い。おそらく、時間をおかず解散・総選挙となることは必至であり、文字通り与野党逆転をかけた死に物狂いの戦いが展開されることになる。

■予算関連法案の帰趨が大きな争点に
 その前に訪れるのが、予算と予算関連法案の取り扱いである。予算自身は衆議院が優先するのだが、予算関連法案、例えば税制改正法案について参議院で否決されれば、事実上予算執行ができなくなる。もちろん、この場合には3分の2で再議決されることになろうが、それでも事実上死に体内閣になることは必至である。というのも、時間は限られているのであり、予算関連法案だけではなく多くの重要法案がひしめいており、それらが軒並み不成立しかなくなるのであり、やがては解散・総選挙になることは必至であろう。もちろん、これらの法案に対して、あらかじめ与野党のすりあわせがなされれば可決されることも不可能ではないが、小沢代表の方針として与野党が足して2で割るようなことはすべきでない、と主張されていることからすれば実現しにくい。
 他の法案への対応については、再議決という方法が残されているのだが、これとても重要法案については厳しく対峙することになるわけで、内閣としては死に体に近くなることは必至であろう。

■重要になった野党共闘のあり方
 もちろん、このようなことができるためには野党が一致結束しなければならず、参議院での民主党会派は112名で過半数に10議席足りない。参議院での野党共闘の帰趨が鍵を握るわけで、野党結束は全力を傾けていく必要がある課題であり、自民党・公明党も必死で切り崩してくることも予想しておく必要がある。
 問題は、もし万が一解散総選挙があり、その際民主党を中心にした野党が過半数を掌握できなかった場合の国会対応である。そのときはその時として考えればよいのだが、衆議院は自民・公明、参議院は民主党を中心にした野党が多数というねじれをどのように解消できるのか、参議院の存在が根本的に問われる事態になりそうである。二院制が国民から支持されるかどうか、深刻な問題になることは必至である。そのことをしっかりと意識して事に当たる必要がありそうだ。






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8月6日(月)


□安倍総理は「ハニカミ王子」ならぬ「ハジカキ王子」だ
久方ぶりに東京永田町界隈を歩いたのだが、とにかく蒸し暑い。そういえば、3年前の参議院選挙を終えて大変な暑さの中、街中でおもわずへたり込んでしまったことを覚えているが、疲労度も高まっているせいかもしれない。早く疲れを取ってがんばりたいものだ。
 さて、政局の展開は自民党、公明党の惨敗の後を受け、安倍政権が厳粛な国民の審判を受けて政権を投げ出すのか、と思いきや、人心一新のため新安倍内閣を組閣するという、まことにわかりにくい形に展開しつつある。今回の敗北の戦犯の一人といわれている赤城農林水産大臣を、更迭したのか自ら辞職したのか良くわからない形で交代させ、なんとも締まらない人事が行われたのだが、一番の責任者は安倍総理ご自身なのだ、ということがまるでわかっていない。誰かの言葉ではないが、まさに「ハニカミ王子」ならぬ「ハジカキ王子」なのだ。8月27日に組閣し、31日に臨時国会を召集するという方針がマスコミで宣伝されているようだが、このぶんでは解散総選挙も案外近いのかもしれない。未だ100箇所以上候補者が決まっていない選挙区がある民主党も、急いで準備をする必要があろう。まさに「常在戦場」なのだ。

□参議院から議員立法を
 さて、参議院での与野党逆転によって、政治の流れは大きく転換できることとなりそうである。民主党だけで所属参議院議員は112議席となり、自民党85、公明党22で、自公両党あわせても107議席でしかなく与野党の議席差は30議席近い。最も、民主党だけでは122の過半数には届かないわけで、他の野党との協力関係には十分に配慮が必要になってくる。直ちに問題となるのは、7日から始まる臨時国会において委員長ポストの配分が始まり、民主党はただちにマニフェストで方針を打ち出していた「年金財源流用阻止法案」を参議院に提出することにするはずであるし、政治と金の問題でもすべての政治団体で1円以上から領収書の添付を義務付ける政治資金規正法案の修正も、自民党の方針転換(?)によってようやく実現の方向にある。参議院から議員立法の提出が多くなる見込みだが、実際法案を提出すれば答弁者も衆参の委員会に出席しなければならないだけに、なかなか大変である。

□議会制民主主義本来の機能の回復を
 一番の注目点は、11月1で期限が切れる「テロ特措法」の延長問題であろう。過去2回この法案の成立と延長に民主党としては反対をし続けており、小沢代表もこの法案の延長には「反対」と明言されている。アメリカ側はシーファー駐日大使が会談を求めており、一度は断ったものの近々会談そのものは実現されそうである。民主党の反対が強いと見てか、政府側は先にも述べたように8月31日に臨時国会を開始したい意向を示している。というのも、衆議院で延長を決めたとしても参議院での反対もしくは60日以内に議決しないときには否決したものとして衆議院に戻され、3分の2の多数でもって可決することになるからだ。今後、対決法案が出てくれば、当然のことながら民主党はマニフェストに基づき原則的な対応をしていくことになるわけで、今後の議会運営は大きく様変わりしていくことは確実である。まさに、本来議会は何をしなければならないのか、についてしっかりと参議院としての機能を発揮していく必要がある。参議院で数の力を頼んで無理な運営をしていけば、しっぺ返しが必ず国民から出てくることをよく理解しておく必要がある。

□国政調査権のフル活用と国会同意人事案件の改革を
 その意味で、是非とも実現したいことは国政調査権の有効活用である。今まで与党側が多数を占めていたために国政調査権の発動を委員会で求めても否決をされていた。もちろんいたずらに国政調査権の乱用を求めるわけではないのだが、国民から見て必要と考えられる調査をしっかりと進めていくことが求められるのだ。「政府」に対する信頼の中には行政府だけでなく司法も立法府も含まれるのであり、不作為の責任も重大な問題なのだと思う。少なくとも、参議院だけでも実現させたい。
 それと同時に、前号でも指摘させていただいた国会の同意人事問題への対応の仕方についての改革が必要となる。日銀総裁の人事が来年3月にやってくる。これまでは、官僚出身か否か、年齢は70歳を超えていないか、女性の占める割合はなど、主として「外形」からしか判断できなかったが、これからは当該委員会に候補者をお呼びして、委員会での質疑を通じてその適否を判断していく必要がある。アメリカの上院がそれを実施している。日本でも参議院が人事案件についてしっかりと審議していくこととすべきだ。是非とも実現させたい。






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