2007年3月のニュースレター:[以前のニュースレター]
 
 
3月28日(水)
 
 
□予算成立するも、地域間格差は拡大へ
 今週の月曜日、平成19年度予算が成立した。今度の予算は安倍内閣にとってはじめて
の予算であり、景気が「いざなぎ」を越えたとされる中、税収が予想以上伸びたことも
あってどのような予算を組むのか注目された。結果としては税収が7兆円以上伸びた分を
歳出の増加に回さなかったことをもって評価する向きもあるのだが、歳出の無駄に対す
る切込みはそれほど注目されるような物にはなっていない。7兆円以上の税収の伸びも、
サラリーマン層を直撃した定率減税の廃止による1兆円以上の負担増かが含まれており、
いまだに銀行などはゼロ金利のもと、大変な高利潤を上げているのだが、法人税収は依
然としてゼロという摩訶不思議な実態にある。景気の拡大は一部の輸出関連の大企業に
偏っており、北海道のようにこれといった輸出企業の少ない、国の公共事業に依存する
度合いの強かった地方の経済は疲弊し続けている。格差の拡大は、個人の所得や資産だ
けでなく、地域間の格差として現在化しているのだ。
 地域間格差といえば、この間の三位一体の改革は何をもたらしたのだろうか。補助金
を4兆円カットして税源を3兆円所得税から住民税に移管し、交付税も大幅にカットされ
続けてきたことは地方の過疎地域を直撃しているのだ。他方で、東京都は景気拡大の恩
典で法人事業税などが大きく拡大し、住民税を減税する余裕すら出てきている。本来法
人事業税などは景気変動によって税収が大きく変動するだけに地方税としてふさわしく
ない。交付税の組み換えで法人事業税を交付税に取り込み、その代わりに地方消費税を
引き上げるべきだ、と主張してきたのだが、その改革がなされないままに至ったことが
東京都の一人勝ちを招いているのだ。地方の自立の為にも交付税の改革が不可欠なの
に、交付税にがんばる自治体を支援する、と称して本当に困っている自治体には目を向
けていないのだ。地方軽視の安倍内閣の限界が出ているといえよう。

□何故急ぐのか、減価償却税制
 税といえば、今度の予算では税制改革ではほとんど改革らしい改革は出されていな
い。法人税の世界で減価償却がかかったコストの95%までしか償却できなかったものを、
100%まで償却できるようにすることとなったことが6,000億円もの減税効果があるぐらい
である。今、企業が資金不足であればこのような償却の改正も必要なのだと思うが、企
業は現在キャッシュフローの範囲内で設備投資ができているのであり、マクロで見れば
資金不足どころか資金余剰なのだ。銀行などは優良企業が金を借りてくれないとこぼし
が出ているのが現状である。それなのに、サラリーマンからは定率減税の廃止などによ
って大幅な増税をしておきながら、急ぐ必要のない企業の減価償却の見直しで大幅な減
税をするなどということが許されるのであろうか。企業に税金を大幅にかけるべきだ、
ということを言っているのではない。問題は優先順位の問題であり、それだけ減税の余
地があるのであれば医療や教育など、もっと有効に活用する必要があるのではないか、
ということを主張しているに過ぎないのだ。

□株式税制に対する軽減措置は即刻廃止すべきだ
 それにしても、格差が大きく拡大し始めた今日、どうしたら格差を少なくすることが
できるのかを真剣に考えていく必要がある。そうしたなか、昨年1年間で株式の売却益で
どのくらい所得があったのか、国税庁の調査がまとまった。そのなかで0,7%の2,000人で
実に1兆2700億円の所得があったのである。この方たちの所得は税率は10%、いやもしか
すると株式公開で得た利益なら5%でしかないのだ。それに対して、庶民の預けているな
けなしの貯金に対する利息には20%の税金がかかるのだ。このような格差を放置している
ことは許されないと思うのだが、どうだろうか。
(今回ニュースレターが遅れたのは、当初用意した内容が、統一自治体選挙の候補者の宣伝が含まれており、公選法違反の文書となるため、新たに作り直したことによります。お詫びをいたします。)




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3月19日(月)
 
 
□ホリエモンに2年6ヶ月の実刑判決が意味するもの
 先週は、16日にライブドア事件の判決が東京地裁で出され、ホリエモンこと堀江被告に対して懲役2年6ヶ月の実刑判決が下された。小坂裁判長は「有望な企業の姿を装って一般投資家を欺き、その犠牲の上で企業利益のみを追求した。経営者の自覚は微塵も感じられない」と痛烈に批判をした。2年6ヶ月という実刑は、証券取引法として異例の厳しさであった。この事件については、すでにさまざまな角度から論議されてきており、一昨年のニッポン放送をめぐるフジテレビとの間での企業争奪戦は、お茶の間にまで企業買収問題を持ち込んだという点でも実に大きな影響を与えた事件であった。また、ホリエモンが若いベンチャー経営者の英雄から、一挙に刑事被告人に落とされたことで、ベンチャー企業に対する不信感が広がり、新興企業を上場している株式市場は、停滞から脱却できないまま今日に至っている。さらに、ホリエモンを衆議院候補として持ち上げた自民党の定見のなさを、まざまざと見せ付けてくれた事件でもあったのだ。
 小生にとっては、たまたま同時期に問題になっていた日興コーディアルグループのベル24システムの買収事件と同時期に国会で問題を取り上げ、「ライブドア事件よりも悪質だ」と批判してきただけに、今回の判決に対してはやや厳しすぎるのでは、という感想を持たざるを得ない。もちろん、ライブドアが犯した粉飾決算や偽計取引などを是認しているのではない。ただ、このようなやり方が2年6ヶ月の実刑判決に相当するなら、日興コーディアル事件は、5億円の課徴金だけで済まされるわけはないのでは、という思いが募る。検察当局としては、どこかに日本の3大証券の一角を占める日興コーディアルグループを刑事事件として立件すれば、資本市場に与える影響が大きすぎる、という判断があったのではないか。まさに「大きすぎて潰せない」ということを地でいったのではないだろうか。法の下の平等、という憲法の掟はどうなるのだろうか。

□急がれる日本版SEC(あるいはFSA)の体制の強化
 ライブドア事件がもたらした問題は多くある。その中でも、時間外取引を市場取引と称して一挙に35%のニッポン放送株を取得したやり方や、大規模な株式分割(最大1万分割)を通じて時価総額を吊り上げたりするやり方など、商法や証取法などの改悪に乗じて法の抜け穴を利用するやり方を「問題はあるが違法ではない」と言いつつ、その後それを法改正や規則改正するというパッチワーク的な後追い型の金融行政が追随していることであろう。アメリカのSECのように、資本市場で日々生起する問題点に対応できるよう、権限と人材の確保を早急に図り、自由な市場取引には最大限の取締りの厳しさを対応させなければ、第二、第三のライブドア事件は防げないのだ。事態は急を要する。

□マスコミは西室東証社長の国会発言にどう反論するのか
 先週の15日、参議院の財政金融委員会で再び日興コーディアル問題の質問に立った。というのも、12日月曜日に東京証券取引所は日興コーディアルを、多くのマスコミが予測したこととは正反対の、上場廃止ではなく、上場維持を決定したというニュースが駆け巡ってきたからでもある。何故廃止から維持に転換したのか、当然東京証券取引所に対する質問となり、西室社長を参考人としてお呼びする中、生々しい事実が浮かび上がってきた。まず、日経新聞は13日の朝刊で、上場廃止と新聞で報道した際に東証の幹部から裏づけを取ってきたし、東証が実施したとされる「法律の専門家に尋ねた結果はすべて上場廃止であった」という事実を幹部から聞いたということであった。西室社長は幹部に問い合わせたが、誰一人日経新聞に廃止の意向と答えたものはいないし、第一、法律の専門家に問い合わせた事実もない、との事であった。日経新聞は、この国会での西室社長の答弁に対してどのように反論していくのだろうか。
 さらに、西室社長は読売新聞が「上場廃止」と何故書くのか、とキャップの方に問うたところ、「ほかの主要2紙(日経と朝日)が書いてしまったから書かざるを得ないと私は思って書きますよ」と通告しに来たとの事であった。このようなマスコミの報道姿勢が、これまた国会の委員会で西室社長から堂々と話されたわけで、読売新聞としてどのような反論がなされるのか、是非とも聞きたいものである。
 それにしても、当初9日に上場廃止と結論が出される予定であったのが、何故12日に延期されたのか、背景にシテイが日興コーディアルを吸収合併する方針が報道されて以降大きく転換したのではないか、と噂されている。もし事実とすれば、誰がそのとき上場維持に向けて働きかけたのか、スキャンダルとしてはまことに大きいものになりそうだ。





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3月12日(月)
 
 
□国民投票法案の強行採決は禍根を残す
 春はそこまで来ている。雪解けも例年になく早く進んでおり、桜の開花も予想以上に早いものと思われる。
 今年は12年に一度、統一自治体選挙と参議院選挙が重なり、候補予定者の事務所はだんだんと熱気を帯びてきているのだが、国会のほうは3月3日の徹夜の予算案の強行採決で、衆議院は不正常状態、にもかかわらず参議院は予定通り予算審議に入り、すでに予算に関する公聴会の日程も、今週の15日に予定されるなど、民主党の国会対策をめぐる衆参の微妙なずれが目立っている。与党側が安部内閣支持率の低下に危機感を抱き、これまで以上に強硬な国会運営を進め、5月3日前までに国民投票法の成立を進めると宣言している。
 この国民投票法案は参議院ではまったく審議をしたことはなく、ようやく特別委員会が設置をされた段階であり、それで5月3日までの採決を、と言われても、はい判りました、とは行かないことは言うまでもない。だいたい憲法改正問題を政治日程に引き上げていくために、その前段の改正のための国民投票法を与党側の単独採決で制定しようとするやり方は、たとえ国民投票法が通ったとしても、実際に憲法改正を進めるためには参議院で3分の2の賛成を獲得しなければ通らないのであり、あえて強硬に進めようとすることは事態を混乱させる以外の何物でもない。公明党が民主党を引き込む必要がある、として先週の衆議院特別委員会で公聴会の設定をしなかったといわれているものの、今週中には決定に持ち込む意向といわれている。なんとか衆議院での事態の正常化を求めたいものである。

□日興コーディアル問題の追及は、シティに安く払い下げることだったのか
 さて、先週の予算委員会で、ふたたび日興コーディアルグループの粉飾決算問題の質問に立った。持ち時間が片道方式で25分、つまり質問者の質問時間だけがカウントされる仕組みのため、なるべく政府側に答弁させようとしたのであるが、相手側がなかなか要領よく答弁しないため、ついつい自分で問題点の解説をしてしまうこととなり、時間配分がうまくいかなかった。そのこともあり、十分問題点の解明が進められなかった。 今週は参議院の財政金融委員会で一般質疑があり、90分間という質問時間が確保できたので、そこで引き続き問題点の解明を進めていきたい。もっとも肝心の日興コーディアル問題は、問題点の解明と責任の追及という段階から急速に進展しつつあり、3月6日にはアメリカのシティグループが、一株1350円で50%以上の株式を取得する公開買い付けに入ることを明らかにし、シティ傘下に吸収合併されそうになっている。また、報道によれば東京証券取引所は日興コーディアルを上場廃止にする意向、といわれていたが、予定日とされた9日は延期され今週中にも廃止という方向になりつつある。
 一体全体、われわれが日興コーディアル問題を追及してきたことが、結果としてシティグループに日本の三大証券会社の一角を、極めて安く提供させることになってしまったわけで、なんともはや目覚めの悪い結末を迎えようとしている。肝心の責任者の刑事責任は不問に付され、5億円の課徴金だけで一件落着とは、ライブドア事件と対比したとき、法の下の平等という憲法第14条に違反するのではないかと思えてならない。そのあたり、再び財政金融委員会で質していきたい。

□ロナルド・ドーア先生から日本的労使関係の重要性を学ぶ
 先週の3月8日、ロンドン大学の教授を歴任され、現在でも精力的に日本の労使関係を調査分析し積極的に提言され続けておられるロナルド・ドーア先生を招いて、「会社は誰のためのものか」というテーマで講演していただいた。ドーア先生の結論は、アメリカ型の会社は株主のもの、という考え方には反対で、日本の企業社会は従業員と従業員の中から生え抜きの経営者が一緒になって統治する擬似共同体に近い形で、良好な日本的労使関係を築いてきた。ところがバブルの崩壊のもとで自信を失ったことや、アメリカの市場原理優先の経済学や法律学を学んだ留学組が官庁や企業に多くなり、会社は株主のものという考え方に染まりつつあるが、本当にそれが良いことなのか、という問いかけを日本のわれわれに投げかけておられるのだ。今まだそのような考え方に完全になりきっていないとき、日興コーディアルやライブドア、村上ファンド事件などを考えると、もう一度会社は誰のものにすべきなのか、しっかりと考え直していく必要があろう。




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3月5日(月)
 
 
□予算の強行採決は、安倍内閣の力不足の表れ
 早いもので、もう3月である。例年になく暖冬で、雪も少なく終わりそうである。ありがたいことではある。
 国会は衆議院の予算委員会が、2日に強行採決を行い、衆議院本会議が徹夜国会に突入する中、賛成多数で可決されてしまった。まだまだ時間をかけて論議すべき問題は、政治と金の問題や、日本経団連の御手洗会長の偽装請負問題に絡んだ参考人招致問題など、山積していたのだが、週を越してしまうと参議院での審議如何では自然成立が不可能になり、ただでさえ審議日程が窮屈になるなかで、教育改革法案や国民投票法案などを成立させなければ、安倍政権の吸引力が持たなくなることを恐れて、強行採決に踏み切ったことは間違いない。そもそも1月19日から国会を開催すればこんなに窮屈にならなかったものを、参議院選挙の投票日を7月15日という三連休の谷間になるから投票率が下がる、などと党利党略から25日に遅らせたところから問題が生じているのであり、年度予算の審議という一番重要な審議を軽視する安倍内閣の姿勢につよく抗議する必要がある。それと同時に、予算と関係している税制改革、国債発行の特例法、特別会計統合法案といった重要な法案が、殆ど審議されずに強行採決されてしまったことも大問題である。参議院での審議でしっかりと問題点の追求を進めていく必要がある。

□日興コーディアル決算粉飾事件は、日本版エンロン事件だ
 さて、予算審議は参議院に移る。5日から総理大臣出席のもと、TV入りの総括審議から始まる。残念ながら小生の出番は一般質疑になるが、予算の前提をなしている経済見通しや経済政策、さらには税制改革問題など、国民生活にとって一番の関心になっている格差問題についても、しっかりと論戦を挑んで生きたい。もちろん、日興コーディアル問題についても、参考人として奥山元日本公認会計士協会会長や日興コーディアルグループの有村元社長と桑島現社長には是非とも参考人としてお呼びし、何故このような粉飾決算を作らなければならなかったのか、また、それをどうして監査法人として見抜けなかったのか、というより監査法人としてむしろ粉飾決算作りに協力していったのか、是非とも解明していく必要がある。事態は監査に当たった旧中央青山監査法人の継承法人であるみすず監査法人が、今年7月には解散することとなってきたし、どうやら日興コーディアルも東京証券取引所の上場廃止になりそうだ、との報道も出始めている。まさにアメリカのエンロン事件と酷似しており、今後の金融行政のあり方について、どうしたら信頼のおける資本市場にすることができるのか、真剣に論議をしていく必要があるし、同じような粉飾決算でライブドアは刑事告発されたのに、日興は5億円の課徴金だけ、というのはあまりにも公平さを欠いているといえないだろうか。法の下での平等を貫くべきだと思う。

□世界株安連鎖の引き金は、日銀の利上げも一因か
 さて、日本経済がいざなぎ景気を超えて、順調に回復しつつある、という政府の発表に水をさすかのようなショックが突発しつつある。それは、2月27日の中国株式市場が大きく値を下げたことに引きづられ、ニューヨーク市場に連動し、翌28日には東京市場でも一時日経平均で500円以上の値下がりとなる中、それで納まるかと思いきや、翌日の東京もヨーロッパも、さらにまたニューヨークも依然として下落し続け、金曜日になっても東京市場は5日連続で値下がりし、とうとう今年に入っての最安値に落ち込んでいる。ニューヨークも金曜日大きく下落しており、週明けの東京市場の行方が注目される。これまで、世界的な資金のだぶつきのもと、ヘッジファンドなどがリスクの大きい投資を行ってきており、いつそれが問題を起こすのか、つい先月開催されたG7の場でもヨーロッパから問題を指摘されていたのだが、アメリカによってヘッジファンドなどの規制の強化を進めることに反対され、今日に至っている。予断でものを言うべきではないのだが、日本のゼロ金利の元で潤沢な資金が海外に出回り、それが投機資金になっていたとすれば、今回の金利引き上げが、世界的な株価の下落を引き起こした遠因になっていたのかもしれない。今後の世界的な資金の流れに注目しなければならなくなってきたことは間違いない。
いつまでも超低金利を継続するなかで、アメリカの双子の赤字を拡大のもと、中国市場の高度成長に依存し続ける日本の経済政策には、限界があることを示しているといえよう。




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