2006年10月のニュースレター:[以前のニュースレター]
 
 
10月30日(月)
 
 
□EU議会議員との交流でストラスブールへ
 雪虫が舞い始めてきた。そろそろ札幌でも初雪が降り始めるのかもしれない。いつもの年よりも遅いように思われる。それにしても、日本ハムファイタースの優勝には心から祝福したい。何よりも道民の熱狂的な応援が一番の力になったに違いない。
 さて、先週の日曜日から木曜日にかけて、国会会期中なのだが、国会用務でフランスのストラスブールに出向いた。日本の国会とEU議会の第27回目の交流会議に出席のためであった。団長は自民党の津島雄二衆議院議員で総勢7名の出席であった。会議でのテーマは日本の政治情勢やEUの安全保障問題、移民問題や日本とEUの貿易拡大やWTO問題など実に多岐にわたったテーマで、それをほぼ一日で終えるというハードスケジュールであった。EUは現在25カ国が加盟をしており、さらに2カ国が近々加盟が認められるとの見通しであったが、当初の6カ国から27カ国へと拡大が進んでいることとは裏腹に、加盟各国の抱えている問題が複雑化しており、肝心のEU憲法の批准でフランスとオランダという最初から加盟している国において失敗となり、順調なる発展、となっていないことが伺える。とくに移民問題には悩んでおり、フランスでは移民2世3世などが、雇用問題など深刻な格差に不満を募らせ、ゲットーを作って時に自動車を焼き討ちする事件が多発しており、ル・ペン氏率いる国民戦線というやや排他色の強い右派政治勢力が根強い支持を持っており、ストラスブールのあるアルサス・ロレーヌ地方はその一大拠点になっているとの事であった。

□独仏の歴史的な和解の象徴としてのストラスブール
 論議はEU議会開催中(議会は1ヶ月のうち1週間だけ開催される)の為か、EU側の議員の出席状況が芳しくなく、時には出席者が日本側7名に対して1〜2名と言う時すらあったが、日本で開催される場合は日本側の出席者が少ないということで、何らかの改善・工夫をしなければ効果が少ないのではないかと思われる。ストラスブールの街は人口27万人とコンパクトな町だが、掘割や川に囲まれた地域一帯が世界遺産に指定されるなど、実に素適な街であった。考えてみればこのアルサス・ロレーヌ地域はドイツとフランスが絶えず領土拡大の対象として戦争をしていた象徴的な地域であり、それゆえEUができたときに議会がおかれてきたという歴史を刻んでおり、まさに独仏和解の象徴とも言える町なのだ。日本と韓国や中国の間で依然として歴史的な和解ができていない今日、何時になったらアジアの連帯が可能になるのか、複雑な心境を持ちながら町を散策した次第である。

□貸金業法改正とグラミン銀行のノーベル平和賞受賞に思う
 さて、国会のほうはいよいよ衆議院で教育基本法の審議が始まる。なぜ教育基本法の改正が必要なのか、現在の法律を読んでも必要性が良くわからない。子供たちが荒れているとか、教育水準が低下しているといったことの原因は基本法にあるわけではないのだし、愛国心を法律で強制することは、思想・良心の自由を犯す恐れもあり、問題ではないかと思う。とくに、日の丸・君が代の国旗・国歌の法制化の際、強制に亘るものではないとの付帯決議をつけたにもかかわらず、東京都教育委員会では強制に従わないとして処分をしてきているのだ。民主党も独自の教育基本法改正案を提出しているが、与党側の足並みの混乱をねらったもの、という戦術判断で出されたというものの、なんとも歯切れが悪い。
 一方、今臨時国会での重要法案である貸金業法の改正案については、肝心の与党側の混乱で結局のところ、民主党が主張していたように出資法の29.2%の上限金利を利息制限法の上限金利である20%に引き下げることとなった。この間、3ヶ月近く迷走したのであるが、これで本当に多重債務問題が解決されるのかどうか、また、貸し金業界の混乱がどのようになるのか、問題の根は深い。そんな時、今年のノーベル平和賞が、グラミン銀行を設立したバングラデシュのムハマド・ユヌスさんに決定した。アジアから金大中氏に続くもので、心から祝福したい。この銀行は無担保で小額の融資を農村の主婦の方たちに実施し、その結果100%近い回収率で不良債権が出ないという。その秘訣は5人組みを作ってそこに連帯させているのだ。日本の頼母子講や無尽に近いもので、信用組合などは無尽を出発にしているわけで、協同組合金融の原点に立ち戻ってもらいたいものだし、連帯という社会の絆の回復こそ一番求められているのかもしれない。





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10月23日(月)
 
 
□もっと熱い熱い党首の論戦が欲しかった
 国会は先週水曜日、安倍総理になって初めての党首討論が開催された。約45分間という時間の中で、党首同士が論戦を交わす試みもようやく定着してきたのだが、可能な限り毎週やるべきだと思う。与党側の善処に期待したい。今回の党首討論は安倍内閣になって初めてだということと、現在戦われている神奈川と大阪の補欠選挙の戦いに、大きな影響を与えると考えられただけに、マスコミも大いに注目してきた。結果から見ると、憲法改正問題と北朝鮮に対する制裁のあり方についてのやり取りだけに終わり、小泉改革の負の側面である格差問題など、生活に密着した課題がなかったせいか、今ひとつ盛り上がりに欠けた論戦になったように思える。小沢代表の落ち着いた対応にたいして、安倍総理はそつなく答え、減点を少なくしたいという姿勢が強く出ていたのかもしれない。次回以降、もう少し火花が激しく散るような論戦を期待したい。

□中国は本気で北朝鮮に怒っている・・6者協議への復帰を求めたい
 北朝鮮に対する国連決議の後を受け、国際社会の動きが活発になってきた。とくに中国が安保理の決議に対して拒否権を行使せず、北朝鮮に対する経済制裁に賛成をしたこと自体、驚きをもって受け止められてきたのに、実際に経済的な物資の輸送をはじめ、具体的な経済制裁行動をとっていることに注目せざるを得ない。アメリカのライス国務長官が日本、韓国訪問から中国に出向く直前には、中国の外交責任者を北朝鮮に派遣し金正日氏と会談し、更なる核実験の実施はしないとの言明を取り付けたと報道されている。その正確な中味については不明なのだが、中国政府が北朝鮮に対する強い姿勢で臨んでいることは間違いないし、今後アメリカが本格的に臨検を実施することになれば、戦闘状態になる危険性がまことに大きくなるわけで、6カ国協議への復帰に向けて国際社会は全力をあげていく必要がある。日本やアメリカはもちろん、中国だけでなく韓国やロシアも努力をしていく必要があり、日本政府の外交交渉が強く求められる。

□とんでもない!自民党内の「核兵器保有論議の自由」発言
 一方、前々回のニュースレターで心配していた発言が、自民党の中川政調会長や麻生外務大臣の口から飛び出してきた。つまり、北朝鮮の核実験の実施に伴い、核の脅威が北東アジアに拡大してきた以上、対抗すべく日本も核兵器を保有することの是非について論議はあってよい、というものである。アメリカがもっとも恐れていた「核ドミノ」減少の危険性が現実のものになる危険性がある。安倍総理自身は「非核三原則」という日本政府の国是は変えることはない、と言明しているが、このような議論をすることをやめさせようとしていない。一般論として自由な論議を封じるべきではない、ということと、今回の事態の中で核兵器を日本が保有すべきかどうか、論議を封じるべきではないと閣僚や自民党の政策責任者が発言することの危険性を見失ってはなるまい。世界の目が日本に対して厳しく向けられつつあるのであり、再び日本の軍事大国化への危険な道を絶対にたどってはならないのだ。このことを今後の国会の中で厳しく追求していきたい。

□本気で財政再建する気があるのか?安倍政権
 安倍政権になって初めての経済財政諮問会議が開催され、その議事要旨も公開された。太田弘子担当大臣の力量が問われているのだが、第一回目から塩崎官房長官が、途中で取りまとめに近い発言をするなど、どこが司令塔になるのか暗示しているように思われる。全体として経済成長を加速させていくために、更なる小さな政府路線を求める姿勢が強く、財務大臣までが財政再建よりも、経済活性化と称して法人税の減税などに言及している。この動きは、政府税制調査会の人事にまで及んできている。石弘光会長の任期が切れたことを機に、本間正明大阪大学教授に白羽の矢を立てた背景も、ともすれば増税政策に傾きがちな石会長を、この際変えたいという意向が貫徹されたと見ていい。ここでも塩崎官房長官が、財務省や総務省から上がってきた人事案に、ノーを突きつけたと報道されている。財政再建がどのようになるのか、まことに心配になってくる。再建が遅くなればなるほどそれだけ国民の負担が大きくなると懸念されているのだ。





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10月16日(月)
 
 
□国連安保理、全会一致で北朝鮮批判の決議採択へ
北海道は秋が早くやってくるように思える。紅葉が美しい季節となってきたのだが、あっという間に厳しい冬を迎えてしまう。それだけに、この季節、短い秋をしっかりと楽しむ気持ちが強くなるのだ。そうしたなか、北海道日本ハムファイタースのリーグ優勝には驚いたが、とくに巨人ファンが多い北海道で多くのファンを結集させた熱意には驚かされる。やればできるということなのだろう。北海道の活性化にとって、まことにうれしい出来事である。願わくはコンサドーレ札幌が、再びJ1に復帰してもらいたいものである。
 さて、北朝鮮問題である。問題は国際世論を大きく動かし、国連の安全保障理事会の決議へと進展している。経済制裁だけに絞るのか、それとも軍事的な制裁にまで拡大するのかをめぐってアメリカや日本などと中国・ロシアなどとの間でいろいろな駆け引きがあったものの、経済的な制裁を加えることで一致した意義は大きい。日本政府は独自に北朝鮮に対する船舶の入港禁止や貿易の禁止措置などを早々と決定し、実施に移した。問題は経済制裁の中で臨検といわれる措置を実施することになった場合、北朝鮮側の軍事的反撃が起こる事態が想定されるし、それに対する国連決議違反に対するアメリカなどの反撃が始まれば、事実上の戦闘状態になることは必至である。今後の展開次第では朝鮮半島から日本を含む地域が大変な事態になるだけに、戦争という事態を回避しつつ北朝鮮を一刻も早く6カ国協議に復帰させるよう、しっかりとした対策が求められる。まさに外交の出番なのだ。

□求められる多国間の外交による解決
 国会での予算委員会でも北朝鮮問題が集中審議として取り上げられ、タイミングよく中国・韓国を訪問した安倍総理にたいして、質問が集中した。本来であれば小泉内閣が進めてきた5年半の改革が、日本社会に何をもたらしたのか、また外交面では靖国神社参拝を強行し続けてきたことによって中韓両国との間の首脳外交が、事実上もてなくなっている事態に対して、どのように打開していくべきなのか、論戦が求められていたにもかかわらず、北朝鮮の核実験実施によって北朝鮮に拉致問題を厳しく退治してきた安倍総理に世論の吸引力が高まってきたように思われる。この問題に対して厳しい態度をとることは、核問題に敏感な国民感情からして当然のことであり、安倍総理にとってはまさに追い風が吹いているのだ。ただし、どのように事態を打開できるのか、せっかく好転し始めた中国や韓国、さらにはロシアなどと、どのように多国間の外交交渉ができるのか問われている。今後の政府の動きに最大限の注意を払いながら、国民の安心・安全を求めて行きたい。

□味気ない教科書的答弁に終始する安倍総理
 それにしても国内の問題は予算委員会で追及されたのであるが、安倍総理自身突っ込んだ論議ができなかったし、答弁事態が聞いているわれわれの心を打つものが少なかったと思う。多くのスタッフに囲まれ、教科書的な答弁書を読んで答えておられるのだろうが、「心から思っていることでないため、人の心を捉えられないのだ」と考えざるを得なかった。たとえば、再チャレンジというのが大きな政策目標なのであろうが、具体的には何をやるのか明確ではなく、国家公務員の採用枠にニートやフリーターの枠を設けるなどと本来の改革とは異なる方向が出てきたり、あまり期待できそうもない。雇用問題でもワーキングプアと呼ばれる深刻な実体に対する感度はまことに鈍く、答弁では野党側に言質を取られないようにするという配慮が先行していた。小泉前首相のように思い込みが激しくないせいか,感情が高ぶることが少なく、意外に冷静さが出ているのも印象的であった。

□日本共産党の変化に注目
 こうしたなか、日本共産党の変化に注目したい。今回の中国や韓国への安倍総理の外交に対して前向きの評価をしているのである。もちろん、国内の問題では小泉改革のもたらした問題点を厳しく批判をしているのだが,国会戦術のレベルだけなのか,それとも戦略上の大転換の予兆なのか、気になる変化ではある。注目していきたい。




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10月10日(火)
 
 
□北朝鮮の核実験、北東アジアの安全保障に大きな衝撃
 安倍内閣が誕生して国会での衆議院の予算委員会が始まったのだが、3日の北朝鮮の核実験の予告から1週間もたたない9日、核実験を実施した。おりしも安倍首相が初めての外遊である中国から韓国に移動したそのときを狙ったかのごとく実施されたわけで、日本やアメリカはもとより、どちらかといえば、北朝鮮を比較的庇ってきた中国や韓国ですら、核実験の実施に対する非難の声明を出していたのは当然といえよう。なぜこの時期に実験を強行したのか、アメリカとの直接交渉が実現できない中、核保有という現実を突きつけることで交渉を有利に導こうとしたものと考えられる。そのことが北朝鮮側にとって本当に有利になるのかどうか、まさに瀬戸際外交でしかない。
 北朝鮮が核保有したことに伴い、中・長期的に北東アジアの安全保障の力関係が大きく変わる可能性に注意する必要がある、と考えねばなるまい。というのは、韓国や日本国内において、対抗上核保有すべきではないか、という意見が台頭してこないとも限らないのだ。実は、かつて安倍総理自身、核兵器を保有することは憲法違反ではない、と言い切ってきたし、若い政治家の中には日本の核武装すら容認する意見を持つものがいるのだ。今後の安部外交の行方に目が離せなくなってきたのだ。少なくともミサイル防衛網の確立という課題が、実際にその効果は別にしても、防衛論議として強く出てくることも必至であろう。ここで民主党としてどのような北東アジアにおける外交・安全保障政策を国民に訴えていけるのか、早急に纏め上げていく必要があろう。

□歴史観についてのオポチュニスト、安倍総理
 さて、安倍総理の予算委員会での論戦であるが、とくに靖国問題や歴史認識の問題については、率直に言って逃げているという印象を持たざるを得なかった。民主党の第一バッターとして菅代表代行以下4名の論客が質問に立ち、第二次世界大戦に対する日本の戦争責任についての論戦の中で、かろうじてお祖父さんにあたる岸信介元総理が開戦詔書に署名したことの責任は認めたものの、A級戦犯に対しては日本の国内法としては犯罪者ではない、といい続けていた。また、靖国神社への参拝については外交上微妙な問題になっているので、参拝するともしないとも言わないと繰り返すのみであり、安倍総理自身が総理になる前まで主張してきた自虐史観批判などは、まったく発言しなくなっている。中国・韓国訪問が控えており、靖国問題など歴史認識で自分の正直な考えを披瀝すれば、ようやく実現しかけている訪中・訪韓が台無しになる、とでも考えているのだろうか。あれだけ歴史の評価について「自虐史観」といい続けていたのに、政治家は歴史認識を語るべきではなく学者・専門家に任せるべきだ、などと発言するにいたっては、このようなオポチュニストに日本国の政治を任せていいのか、不安になってくるのだ。今週はいよいよ参議院に論戦の舞台は来る。小生はバッターに立たないが、仲間の論客がそれぞれ厳しく追及していくはずであり、期待したい。

□民主党への期待は小沢代表の健康回復で強まる
 5日木曜日に神奈川16区の補欠選挙の応援に入った。後藤祐一候補は経済産業省で将来を嘱望されていた人物であり、その職をなげうって立候補されたすばらしい人材である。選挙区内を回ってみても、地元の出身のせいもあるのだろう、なかなか評判が良い。それとともに、小沢代表に対する根強い支持者がいることには心強い限りである。とくに中小商工業者や自営業の方々に根強い支持基盤があるようだ。その小沢代表が健康面のチェックも終わり、元気な姿を見せていることが何よりも選挙戦に対する励みになっているのだ。あと一息、がんばりたいし、18日に予定されている初めての党首討論が注目される。

□プーチン政権のロシアは民主主義国家なのか
 それにしてもロシアという国はいったいどうなっているのだろう。プーチン政権を厳しく批判していた著名なジャーナリストであるアンナ・ポリストコフスカヤさんが、モスクワの自宅近くで白昼殺害されるという、まことにいたましい事件が起こった。報道の自由やメディアの独立性はもちろん、民主主義が侵害されていることに怒りを感ずるのは小生だけではなかろう。とくにチェチェンにおけるプーチン政権の犯した人権侵害を取材し、厳しく批判してきたことに対する報復なのであろう。プーチン政権がどのような対応をとるのか、国際社会は厳しく問い続けなければならない。




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10月2日(月)
 
 
□一刻も早い回復を、小沢代表の健康問題
 いよいよ臨時国会が始まった。先週の25日、民主党の臨時大会が開催され、小沢代表が再選された。任期は08年9月末までの2年間で、その間来年は参議院選挙があり、2年前と同じ程度の民主党の勝利が成し遂げられれば、参議院の与野党の差は逆転し、政局の主導権を野党側が掌握でき、衆議院の解散・総選挙を展望することも可能になってくる。それだけに小沢執行部に対する内外の期待は、まことに大きいものがあったのだが、残念なことに大会終了とともに、検査入院されることとなり、やや機先を制された感は否定できない。多くの支持者の方たちからも、新しい安倍新総理との対決を期待しているという声が多く寄せられているだけに、一刻も早い健康の回復を祈念したい。
 実は、小沢代表の下での「次の内閣」で、再び金融担当・経済財政担当大臣に就任することとなった。これで連続6回目の「入閣」となるため、できれば新しい方にポストを譲りたいと申し出たのだが、これまた継続となる松本政策調査会長からの強い要請で、経済・金融部門の取りまとめ役として担当することとした。今臨時国会では、金融問題で直ちに貸し金業の上限金利問題が大きな問題になることになっているし、引き続きライブドア問題や村上ファンド問題の背景にある、会社法や証券市場の規制緩和の進展に対応する厳しいルールの設定と監視体制の強化など、大きな課題が山積している。なんとかして日本の金融市場が、自由かつ公正で世界に開かれた誇りの持てる様なものにして行くためにがんばってみたい。

□「船頭多くして、船山に登る」危険性の大きい新内閣
 さて、安倍内閣が発足した。率直に言って自民党総裁選挙の論功行賞と仲良しクラブの寄せ集めでしかないのでは、と思えてならない。さっそく松岡利勝農林大臣の政治資金問題が露呈するなど、この内閣の新鮮さには早くも疑問が出てきている。一番の問題は、5人の総理大臣補佐官と各省庁の大臣との任務分担が果たしてうまくできるのか、という点であろう。内閣にリーダーシップを集中していきたいということと、アメリカの大統領制ではない日本の議院内閣制度のもとに無理やり補佐官制度を持ってきても、担当している各省庁の膨大な官僚機構とぶつかってしまえば行政は機能を麻痺してしまう。それぞれの大臣と総理大臣補佐官との権限と責任について明確にさせていく必要がある。仲良しクラブの補佐官と論功行賞の大臣の衝突が起きることは必至であり、船頭多くして船山に登る、のたとえが頭をよぎってくる。そうならないことを祈るばかりである。

□骨太な歴史観、国家観を曖昧にしている安倍総理大臣
 そうしたなか、29日には安倍総理大臣の所信表明演説があった。当初25分程度といわれていたのが35分間という長いものになった割には中味があまりなく、横文字の言葉が踊っているのが印象的な程度であった。再チャレンジというのが一番の売りなのであろうが、今の日本の社会の中に広がりつつある格差の拡大と固定化の背景は何があり、どうすれば国民一人一人がやる気を示すことができるのか、あまり説得力を持って伝わってこない。競争すれば格差が出るのは当たり前というが、今生じている格差は、競争の前提条件としての厳しいルールが欠けていることに目を向けていない。とくに教育に力を入れ、とりわけ公教育に力を入れたいとしているのだが、必要な財源の裏づけを欠いていては絵に描いた餅でしかあるまい。経済・財政問題では消費税についてのくだりが失笑を買った。いわく「消費税については『逃げず、逃げ込まず』という姿勢で対応してまいります」。いったいどういう考え方をしているのか、これだけではまったく何もわからないのだ。
 一番の問題は日本国の総理大臣としての歴史観、国家観なのだが、靖国神社に参拝するのかどうか、あいまい戦略をとっていることの背景には、自分の持っている思想を前面に出せば、内外から大きな反発が予想されるがゆえに、しっかりと国民にきちんとした歴史観や国家観に裏打ちされた訴えが出ていないのである。これでは今後の内外の厳しい論戦や交渉で、内外の指導者と堂々と渡り合えなくなるのではなかろうか。第二次世界大戦の評価一つとっても、アメリカ国内では小泉前首相の偏狭なナショナリズムに対して疑問の声が出ていたし、日本の軍国主義者の戦争責任を否定するような考え方では、日中・日韓関係だけでなく、日米関係すらおかしくなることは必至である。危うさを感ずる最大のポイントでもある。




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