2006年9月のニュースレター:[以前のニュースレター]
 
 
9月25日(月)
 
 
□韓国に納税者番号とインボイスの調査に出向く
 先週の18〜19日にかけて、韓国のソウルを訪問した。かねてより韓国で納税者番号制度と付加価値税についてインボイスが導入されており、その中身を調べに出向いたものである。同僚参議院議員である尾立源幸さんと一緒に、1泊2日という短い滞在であったが、多くの中身と現実の運用状況について知ることができた。まさに「百聞は一見にしかず」ということである。
 まず、納税者番号制度であるが、韓国では住民登録番号が納税者番号としても使われている。住民登録番号については、同じ民族である北朝鮮国民との違いを明確にするためのID番号として導入されたものであり、準戦時体制にあった韓国ではあまり国民からの反対もなく導入されており、われわれのプライバシー問題との関連での質問を受けて、そういう問題もあるのか、と妙に感心されていたのが印象的であった。
 一番議論をしてきたのがインボイスである。韓国で付加価値税が導入されたのが1977年であり、日本の導入よりも10年以上も早く、しかもいきなり10%という単一税率から入っている。日本では3%、5%と徐々に税率を高くしていったことに比べて、まことに大胆な改革に驚かされる。これというのも、まだまだ1977年当時は韓国の政治体制が、権威主義的なものであったことが影響しているものと思われる。インボイスの発行によって、異なる業者の仕入れと売り上げが、コンピューターで突合される実態を目の前で見せられ、これでは企業の側からごまかすのは容易ではないことを感じさせられたのであるが、現金でのやり取りはなかなか把握できないとのことであったし、事業者がインボイスを発行するためだけで設立され、インボイスを売買にすることを防ぐ努力がなされていることも見せていただいた。
 総じて納税者番号制度もインボイスも、いろいろと技術的な問題はあるものの、韓国の税制の中にしっかりと組み込まれている、という印象を持って帰国した。ただ、日本のような様々な利益団体が跋扈している社会では、このような国民や事業者に番号をつけて、税制や商取引に使うことに対するものすごい反対が想定されるだけに、その実現に向けたハードルがまことに高いものになることが予想される。それでも、公平・公正さを求める必要のある税制にとって、納税者番号やインボイスの導入は不可欠だと思う。

□善戦した谷垣財務大臣
 さて、ポスト小泉が誰になるのかは、すでに何度も報じたように20日、安倍官房長官に決まった。問題は当初は70%を超える得票を勝ち取るのではないか、と予想されていたのに66%ということで、数の上では圧勝には違いないものの、やや伸び悩んだ、と報道されている。それに比べて麻生外務大臣が136票、谷垣財務大臣が102票と善戦したことが注目される。特に谷垣財務大臣は国会議員票だけで66票を獲得し、麻生氏の69票に迫る善戦であった。その背景には、国家主義的な安倍氏の政策に対する懸念や、政治家として増税を訴えた谷垣氏への誠実な態度に共鳴した議員が多かったことを示している。もっとも、安倍氏が参議院選挙の公認候補の見直し問題に触れるなど、ともすれば独自性を発揮したい参議院に対する、新総裁としてのリーダーシップの確立を訴えたことに対しての批判票もある、という見方もあるのだが、なかなか確定した見方はできにくい。

□注目したい宮内オリックス会長の後任人事
 さて、今週はいよいよ臨時国会となるのだが、安倍新総理の元での内閣の組閣と自民党新三役の選出が行われる。その中での注目すべき点は多いのであるが、あまり注目されていない人事の中で、各種審議会の委員の変更に注目したい。それは規制改革を進めてきたオリックスの宮内会長の辞任であり、その後任に誰がなるのかという点である。宮内会長は小泉内閣の下で、「官から民へ」のスローガンの下、行き過ぎた規制改革を強力に進めてきた張本人であり、その改革で自身の商売を拡大してきた「政商」とも揶揄される人物である。一例を挙げれば、今日、働く労働者の人材派遣や契約労働など不安定低賃金・未権利労働者の拡大が大問題になっているが、それをもたらした張本人でもある。今後、誰がこのポストに就くのか、経済財政諮問会議の民間議員の人事と並んで注目したい。



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9月20日(水)
 
 
□政局「秋の陣」のはじまり、始まりー
 9月に入ってもうは半分以上を過ぎ、大雪の山々は紅葉が始まり、まことに美しい紅葉の風景写真が北海道新聞に掲載されていた。紅葉前線がこれから南下し始める。
 政治の季節もいよいよ9月26日には国会が始まり、与野党の戦いの火蓋が切られる。与党側の陣営も、自民党の総裁選挙が20日に決着がつくし、公明党も神崎代表、冬柴幹事長の体制から、太田代表、北側幹事長の体制に代わることが報じられている。30日の公明党の大会で承認される見込みである。政策調査会長は斉藤鉄夫衆議院議員になる見込みという。斉藤議員は小生の高等学校の後輩であり、なかなかの好人物である。党派や立場は違えども、活躍を期待したい。   

□小沢代表の基本政策を早急に論議すべきだ
 一方、民主党の代表選挙は小沢代表だけが立候補され、25日の大会では無投票で選出される運びとなる。党内の一部には、なんとか20人の推薦人を集めて出馬したい、と動いた者もいたようであるが、結局、推薦人を集めるにはいたらなかった。20人という推薦人の壁はなかなか厳しいものがあるが、それだけの国会議員から推薦されないようでは、総理大臣をめざす物の器とはいえないのだと思う。さて、小沢代表の打ち出された基本政策であるが、税制・財政問題で言えば消費税の扱いで、全額5%を基礎年金部分に当て、地方については補助金の全廃、地方への権限・財源の移管をすすめるという。その地方については、300程度の基礎自治体とし、都道府県を廃止する方向を打ち出されている。はたして5%の消費税でもって社会保障の財源が足りるのか、足りなければ消費税の引き上げを考えられているようであるが、プライマリーバランスの回復を始め、財政の健全化に向けてどのような施策が求められるのか、今後の大きな課題といえよう。早急に党内の合意を確立していく必要がある。

□試される総理、安倍晋三
 問題は自民党の総裁は安倍官房長官で決まりなのだが、幹事長をはじめとする党三役や官房長官をはじめとする閣僚の人選がスムースに進められるのか、新総裁の手綱さばきがまず試される。さらにここにきて、来年の参議院選挙の候補者を再検討することを明言したことに対して、参議院の青木会長や片山幹事長の反発が表面化するなど、前途は多難の様相を示し始めてきている。それ以上に厄介な問題は、昨年の郵政政局の中で自民党から除名処分され、刺客を送り込まれながらも小選挙区で当選してきた衆議院議員の自民党への復党問題が浮上してきた。総裁選挙に出馬している3人とも復党を認める発言をしており、もし復党を認めれば、今いる刺客として送り込まれた現職の代議士である自民党の支部長はどうなるのか、相当に組織内でもめる問題をはらんでいるのだ。まさに前途多難を予想せざるを得ない。

□無責任だぞ、竹中平蔵氏の議員辞職
 一方、国会が始まれば民主党としても代表質問や党首討論、さらには予算委員会で政策論争を挑んでいくことになるのだが、安倍新総裁のキャリアにおいて、各省庁の担当大臣を経験していない。とくに経済や財政問題になると、谷垣財務大臣のほうが一枚も二枚も上手であることは間違いない。民主党としてもこの秋の臨時国会では、格差問題についての追及をしていくことになるわけで、安倍新総裁に対する厳しい論戦を準備しつつある。そうしたなかで、竹中総務大臣が大臣はもとより、国会議員についても辞職することを表明した。この5年半の小泉内閣の中で、唯一大臣のポストに座り続けてきたし、とくに経済財政諮問会議を中心に小泉内閣の経済政策の中心メンバーとして、新自由主義に基づく市場原理主義の経済政策を推進してきた張本人である。なぜ、このときに辞めるのか、学者に戻るという話しではあるのだが、問題になっている格差問題をもたらした張本人であり、政治家としてそれに対する所信を述べるなど、当然その責任について明確に対応すべきなのではなかろうか。やや卑怯な態度だと批判されても仕方はなかろう。小泉・竹中路線の5年半の総括が求められているとき、まさに敵前逃亡なのではなかろうか。



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9月11日(月)
 
 
□深刻化する道内自治体の経済・財政
 9月に入って北海道はめっきり涼しくなってきた。先週は空知管内を回ってきた。空知地方は北海道でも有数の穀倉地帯であり、田んぼでは黄金色をした稲穂が美しく、収穫のときを迎える時期が迫っていることを教えてくれる。もっとも、稲作農家にとって米価の低下によって収入が激減しており、年収が200万円にも満たない専業農家が増えており、今後の経営の安定化が望まれないため、後継者が出てきにくくなっていることへの懸念が出ていたのだが、今後の農政をどのように展開させていくべきか、今後の大きな課題である。
 空知管内を回ろうと思ったのは、言うまでもなく夕張をはじめとした旧産炭地(通称5市1町)の財政問題が深刻な状態に陥っていると報道されており、実際の状況について直接関係者の方たちから聞いてみたいと考えたからに他ならない。実際に出向いて見聞きしたことは想像以上に深刻なものであった。すでにここ数年間の間に地方交付税が大きく削減され、公共事業の削減によって補助金も大きく減らされている中、市町村の単独事業もドラスティックに激減している。稲作を中心にした農業の落ち込みや炭鉱の閉山という構造転換の中で、新しい産業への転換も思うように進展しない中で、唯一の頼りであった公共事業が小泉改革の中で6年近くも削減し続けられていけば、どのような地域社会になるのかは想像できよう。「格差の拡大」という方針を採り続けてきた小泉改革によって、確実に地域社会が崩壊の一歩手前までに来ているのだ。もう一度地域社会を立て直していくために何をなすべきなのか、思い切った分権社会を作る以外になかろう。それにしても夕張市の赤字債権団体化の問題の解決には、国が民間企業の不良債権で示したように、自治体版の「民事再生法」や「産業再生機構」を作っていく以外にはないのではなかろうか。バブルの後始末に何兆円もの税金を投入したことを忘れてはならないのだ。一刻も早く国会の場で、これらの問題について政府の責任ある対応を求めて行きたい。

□盛り上がらない自民党総裁選
 ようやく自民党の総裁選挙が始まった。前回の5年半前の選挙に比べ、国民的な盛り上がりに欠けていると多くのメディアは報道している。というのも、安倍晋三候補が圧倒的な国民的人気を背景に党内の国会議員の6〜7割の支持を集め、党員票のほうも過半数を集めることは必至という状況で、勝敗の帰趨があまりにも明確になりすぎていることがあげられよう。まことに喜ばしいことである秋篠宮妃殿下に男子が誕生したときにも、その感想を安倍官房長官だけがもっぱら報道に登場するなど、マスコミの安倍シフトには他党の事ながら眼に余るものがあるように思われる。政策上の違いについて、とくに財政改革などは税制改革と並んで大いに論議してもらいたいのであるが、具体的な姿が出ておらず抽象的なものとなっており、メリハリの少ない政策論争ならぬ政策論議になっている。安倍新総裁になって、一刻も早く国会での論戦を進め国民にとって自民党と民主党とどちらがこの国の将来の政治を任せることができるのか、問うていきたい。

□2つの「9・11ショック」に思う
 今日9月11日は、5年前のニューヨークの貿易センタービルとペンタゴンへの同時多発テロ事件の日である。あれから5年間の間にブッシュ大統領はイラクに大量破壊兵器があると称して戦争を始めたものの、大量破壊兵器は存在せずイラクの民主化もうまく進展するどころか泥沼の内戦状況を招き、イラク市民はもちろんだが、アメリカ兵の死者も増大しており内外でアメリカのブッシュ政権に対する批判が強まってきている。ブレア首相も1年以内に首相の座を降りることを公表し、小泉首相も退陣するなどブッシュ大統領にとっては国際的孤立化の動きが顕著に出てきている。日本の次の総理がどのような外交を演ずることになるのか、日米関係を重視するといった一般論ではない外交戦略が問われている。
 それにしても一年前、衆議院選挙での小泉旋風のすさまじい勢いによって、民主党が大きく敗退させられた。あのときの大敗の「ショック」から、ようやく立ち直りつつあるのだが、岡田代表からもっと新しい前原代表に賭けてみようと民主党国会議員が判断したことが、ずっと昔のことのように思い出される。再び政権取りに向けての挑戦が始まっているのだ。



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9月4日(月)
 
 
□自民党総裁選挙は安倍氏の独走態勢に
 いよいよ9月、政治も9月20日の自民党の総裁選挙によって小泉総理の後継者が決まる。安部官房長官が9月1日正式に出馬宣言を行い、先に出馬していた谷垣財務大臣、麻生外務大臣の三つ巴の選挙戦となっているものの、事実上安倍晋三氏が独走状態となっており、安倍総理大臣が事実上確定した。
 1日の出馬表明において「美しい国、日本」と題した政権構想と公約を発表したが、「戦後レジームからの新たな船出」を掲げ、憲法改正や教育改革を柱にすえている。小泉総理の下で一番の問題になっていたアジア外交、とりわけ中国や韓国との関係で問題になっていた靖国問題については「行くか行かないかは、外国から指図されるものであってはならない」とのべ、明言しない方針をあらためて強調している。はたして日中、日韓の関係の正常化が実現できるのか、今後の大きな課題となることは必至である。問題は第二次世界大戦に対する歴史的評価の問題であり、明確な判断が求められよう。
 それにしても、国家主義を前面に打ち出し憲法改正を高々と掲げ、さらには集団的自衛権について、現行憲法の下でも解釈によって可能にするという考え方には「戦後レジームからの新たな船出」にしたいと考えているのであろうが、そのまま国民から納得されるものではない。戦後の民主主義の骨格がそれほど簡単に変えられるとは思えないし、憲法改正には民主党の賛成なくして実現不可能なのだ。
 経済の問題についてはあまり積極的な発言がなされていないが、財政問題で来年度の新規国債発行額を今年度以下に削減することを打ち出しているものの、消費税の引き上げについては「ある程度は上げなくてはならない」と述べたものの、具体的な引き上げには触れていない。小泉改革なるものによって格差が拡大していることに対しては、再チャレンジ政策を謳っているものの、具体的な内容に乏しい。

□安倍総理はリーダーシップが発揮できるのか
 問題は安倍政権誕生によって自民党内の安倍支持勢力が圧倒的に多数を占めるため、どんな人事をすることができるのか、ということになる。若手を中心に再チャレンジ議員連盟もあるし、派閥横断的な中堅以上の支持基盤にも目を向けなければならず、まず組閣の段階からリーダーシップが試される。さらに、来年の参議院選挙に向けて、昨年の郵政解散で、小泉総理に反対して自民党から追放された議員に対する復党問題も迫られており、党内の挙党一致体制の実現でもその実力が試される。もちろん、臨時国会が始まれば予算委員会や党首討論の場で、民主党からの厳しい論戦が待ちうけているし、10月22日には衆議院の2つの補欠選挙がある。民主党としても負けられない選挙となり、激突は避けられない。
 問題は臨時国会の開催日の問題であるが、当初は9月29日に開催され、小泉内閣の総辞職から首班指名までで、組閣後に所信表明とそれに対する代表質問、続いて予算委員会という流れになると見られていたものの、総裁が決まる20日から時間を置かないで22日に開催しようという動きが強まっている。組閣に手間取ると、猟官運動が激しくなり党内の混乱が増すからだという。民主党をはじめとする野党はもちろん反対であり、とくに民主党は25日に党大会を予定して代表選出することになっており、その前に首班指名をすることはできない、と厳しく批判をしており、いまだに決着がついていない。

□小沢代表の基本政策の発表が待たれる
 さて、民主党であるが、小沢代表以外には有力候補の立候補はなく、25日には小沢代表が選出されることは確実である。私自身も政策面の細かい点での内容が不明確ではあるものの、小沢代表のもとで参議院選挙を戦うべきだと考えている。問題は小沢代表の代表選挙に向けた基本政策であるが、8月25日付けの読売新聞に一部報道されているのだが、これが正式なものかどうか定かではない。その中では、国家像として「共生」を理念に「公正な国」の実現を目指し、雇用や農政に重点を置き所得税・住民税を半減させ、消費税の福祉目的税化を提唱している。所得税・住民税の半減についてはどのような改革なのか、詳細が不明なのでなんともいえないのだが、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げようということなのかもしれない。今後より明確になった段階でコメントをしたい。



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