2005年11月の日記:[以前の日記]
11月28日(月)
第544号 2005年11月28日
□自民党の半世紀とはなんだったのか 先週の火曜日22日に、自民党結党50周年記念式典が東京都内で開催された。もともとは15日が結党記念日なのだが、紀宮様のご結婚で1週間延期しての開会となった。小泉総理の下で296議席という衆議院の過半数を制する勝利を獲得した直後であるだけに、士気も高まったのでは、と思いきやなかなか手厳しい指摘をする論評も出ている。 とくに目立ったものでは宮沢喜一元総理大臣が朝日新聞のインタビューに答えた中で、一つは外交問題でこれまでの50年間はまずまずうまくいったのだが、小泉さんのアジア政策については問題があるとして、特に中国との関係で、靖国問題をめぐって両国の首脳が会えないのはまずいし、これからはアメリカと中国をどう組ませていくのかが日本の仕事。中国を忘れちゃ困る。中国の将来に懸念があるから、注意して大事にしなきゃいけない、と特に中国との関係について厳しく批判をしていることが目についた。 さらに、最近の自民党がやさしい保守主義と決別しようとしていることに対して、小さな政府というスローガンは賛成で、やってみる価値はあると言うものの、ただ小泉さんのいうことを本当にやると弱者にきついかもしれないし、それには心配している、とややぶれた評価になっている。 参議院で否決された郵政民営化法案について、衆議院を解散し、反対した人に刺客を送ったことに「大政党としては長い目で見てあまりやっていいことではない」し、「ポスト小泉もこんな言論が封殺された状態では展開の仕様がない。もっと自由な議論がなきゃいけないでしょうね」と批判をされている。まことにもっともな批判だが、宮沢元首相の立場として「小さい政府が弱者に厳しくなる」ことを認めていながら、他方でやってみる価値があるというのはいただけない。問題があるのならそれを事前に防ぐことが必要なのではないだろうか。戦後の経済政策に深くかかわってこられた宮沢元首相の立場は、まさに保守本流の流れを汲むリベラルな政治であり、思いやりのある保守政治ではなかったのではなかろうか。
□なぜ自民党は結党以来政権政党を継続できているのか それにしても、自由民主党という政党がかくも長きにわたって、ほとんどの期間、政権政党であり続けてきたのはなぜなのだろうか。冷戦のもとでの米ソ対立の中で、アメリカを中心にした西側陣営に立脚するなかで、反共主義と政権を担い続けるという2点だけに自民党のアイデンティティを定めてきたし、そうした中で池田内閣の所得倍増計画以降、高度経済成長を通じて国民生活の向上を進めてきたことが加わり、各種世論調査で見ても、ほとんどの国民各界各層の支持で第1党を占めるという包括政党として、磐石の基盤を築いてきたことが挙げられよう。その意味では1960年の、あの安保闘争の強烈なイメージのあった岸内閣から池田内閣への転換の意味はまことに大きい。 高校生であった自分にとって安保闘争直後の池田内閣の登場は、国民に明るい目標を提示し、岸内閣の強権的な政治から大きく転換したことを国民が歓迎していた雰囲気の広がりを今でも覚えている。残念ながら野党であった日本社会党は、安保闘争の後で政権を奪取するよりも平和革命を目指す方針が採択されるなど、およそ対抗政党として政権交代を目指せる状況になかったことが致命的であった。 その社会党が事実上なくなり、55年体制が崩壊過程にあるとき、自由民主党が大きく過半数の衆議院の議席を獲得し、政党の体質も小泉総裁のリーダーシップと一枚岩的党組織(?)に、さらには政策面でも新保守主義改革へと大きく転換しつつあることに戸惑いを覚える。あれだけ派閥政治の弊害が指摘され、政・官・業の癒着構造による政治と金の関係などが本当に小泉総裁のもとで一夜にしてなくなるなどとは信じられないのだ。野党である民主党としてのこれからの課題は、何よりも政権政党である自民党の繰り出す政策の問題点を厳しく検証し、批判とともに基本的な点についての対案をぶつけるとともに、国民に対してしっかりと宣伝をしていくことなのだと思う。野党であるという有利さはまさに政権政党の繰り出す政策の問題点を見て、その問題点を指摘できることなのではなかろうか。
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11月21日(月)
第543号 2005年11月21日
□沖縄の現実から目をそらしてはならない 先週の16〜17日にかけて沖縄を訪問した。参議院の財政金融委員会の視察であり、昨年は9月に北海道の視察であったが、今年は政策金融機関の統廃合問題もあり、沖縄振興開発金融公庫の地域経済にはたしている役割について、関係機関からのヒアリングと、実際に融資を受けている企業の視察と名護市にある金融特区の視察など2日間という短い時間であったが、いろいろと地域の皆様からの意見を聞くことができ、今後の改革のあり方について参考にすることができた。 何よりも沖縄の現状が戦後の復帰が遅れ、さらに米軍基地がどっかりと存在することからくるマイナスの持つ影響は、単に経済だけにとどまらないことはいうまでもない。ちょうど日米首脳会談があった直後だけに、基地を抱える沖縄の苦悩がひしひしと伝わってきた。辺野古の普天間基地移転対象地域を視察したが、どうしてこんなすばらしい美しい海を埋め立てなければならないのか、何とかアメリカのグアムやハワイに撤収してもらえないのか、切実に思わざるをえない気持ちで一杯であった。その沖縄から札幌に帰ってみると、一面の銀世界であり、寒さがやけに身にしみる週末となった。本当に日本は南北に長い国であり、亜熱帯から亜寒帯まで多様な地域を抱えていることを痛感させてくれる。
□フランスの若者の暴動の意味するもの さて、世界に目を移してみるとき、大きな転換期に直面し始めているのではないか、と思う出来事が起きている。それはフランスにおける人種差別問題、貧困問題に端を発する若者たちの暴動が、すでに3週間にもわたって繰り広げられている。フランスでは都市の郊外にアラブ系やアフリカ系の2世、3世の若者たちが、仕事にありつけず実質上の人種差別が大きな社会問題になっている。先進国はアメリカを除いていずれも少子化の影響で労働力を海外から移入する政策を取っており、問題はフランスだけでなくドイツやイタリアなど多くの先進国でも共通した問題を抱えているという。何時、どこでも同じような暴動が起こっても不思議ではないといわれている。 シラク大統領は、問題に対処していくためには平等・公平を回復しなければならない、との声明を発表する事態にまで至っている。ちょうどアメリカが、ハリケーンクリスティーナの甚大な被害によって白日のものになった貧富の格差に対して、9月15日 ブッシュ大統領が貧困の克服に向けて新たなメッセージを出し、国の予算を支出していくことを約束せざるを得ない事態になっていることも考えるとき、グローバリズムの下で南北の格差だけでなく、豊かといわれた国々の中での貧富の格差の拡大に対して、何らかの改革をしなければ社会が維持できなくなりつつあるのである。このことの日本に対するメッセージは明確であろう。小泉・竹中路線のもたらす構造改革なるものは、やがてはアメリカやフランスで起こっていることを何年か後にもたらすことは必至なのだと思う。民主党の出番なのだ。
□民間に任せてどうなったのか 国内に目を転じてみるとき、小泉・竹中路線のもたらしたものの問題点の芽が出始めてきている。千葉県の建設設計事務所が設計したマンションやビル建設にあたってマンションの強度の不正を行い、その結果、強度不足の欠陥マンション・欠陥ビルディングが出来上がってしまったという大変な事件である。事態の詳細については今後の展開に待たなければならないし、国会でも閉会中とはいえ直ちに国土交通委員会で閉会中審議を求めていく必要がある。見逃すことはできないのが、検査を国や自治体から民間に移したことである。民間に任せれば効率よくうまくいく等ということにはならないのであり、国民生活に直結した分野については、形態は別としても公的な責任が問われる必要があるのではなかろうか。JR西日本の尼崎の列車脱線事故といい、国民生活に直結した安全が民営化による収益拡大によってないがしろにされたことを見逃すことはできない。 それにしても、プーチン大統領が来日する。北方領土問題の進展はまったく期待できないという。2001年のイルクーツク宣言までに進んだ領土問題の停滞の責任は、小泉政権にあることはいうまでもない。何とか打開できるよう対ロ外交の新しい組み立てが求められているのだろう。なかなか難問題であることは間違いない。
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11月14日(月)
第542号 2005年11月14日
□今週は沖縄開発金融公庫の視察に出向く 国会は閉幕したものの、民主党の「次の内閣」は毎週のように開かれるため、ほとんど月曜日から金曜日まで上京することになってしまう毎日である。とくに、現在、政府系金融機関の改革問題をまとめる課題に集中しており、その会議も連日のように開かれている。今週も「次の内閣」に引き続き、16~17日沖縄に視察に出向く。とくに沖縄を選んだのは政府系金融機関のひとつである沖縄開発金融公庫がどのような役割を持っているのか、現地調査をしたいと考えているからに他ならない。普天間の移設問題もあり、基地を抱える沖縄現地の状況はかなり厳しいものが予想されるのだが、財政金融委員会としては対象外であるものの、できれば現地の空気をきちんと掴んでかえりたいと思う。
□おかしくなってきた小泉内閣の新閣僚の言動 それにしても小泉内閣の新閣僚の言動には微妙な変化がうかがわれる。というのは、谷垣財務大臣が07年に消費税の引き上げの法案を提出したい、と方針を明言したところ、自民党の中川政策調査会長が消費税の引き上げの前に歳出削減が先行すべきで、その後に消費税の引き上げをすべきだ。もし07年に引き上げをしたいと考えているなら、来年9月の総裁選挙に出馬をし、公約として打ち出していくべきだ、と発言をし、さらに竹中総務大臣はデフレの脱却もできていない中では消費税の引き上げには反対であることを明言した。 他方、経済財政諮問会議の運営のあり方をめぐっても、これまでの竹中氏のやり方が一部の側近だけが会議の運営のあり方をリードし、総理のお墨付きをもらいながら独断専行気味のやり方についての不協和音が出始めているという。新しく与謝野大臣になったことによって財務省寄りの立場が出てくるのではないかと言われ始めており、ここでも改革の行方は混沌とし始めている。最強の官庁といわれる財務省の巻き返しが出始めてきており、今後の政府系金融機関の改革や三位一体、さらには特別会計の整理統廃合など、改革をめぐる政治展開は目を離せなくなっている。とくに天下りを全廃することができるかどうか、民主党としての対案の準備もすすめつつ、注目していきたい。
□金融界出身者が郵政株式会社の社長になるのはやめるべきだ 小泉改革の最大の焦点となっていた郵政民営化法案が通ったことによって、誰が新しい持ち株会社である郵政株式会社の責任者になるのかが注目されていたが、西川善文前三井住友フィナンシャルグループ代表が就任することとなった。新しい郵政会社の中心は郵便貯金会社と簡易保険会社であり、金融機関の出身者は利益相反するために好ましくないわけで、この人事には大いに問題があるといわなければならない。三井住友の背後にはゴールドマンサックスが控えており、西川氏が資本増強を竹中大臣から迫られたときゴールドマンの支援があったことによって乗り切ったのであり、この点からしてもインサイダーとなりやすいわけで、まことに不適切な人事といわなければなるまい。西川氏については楽天の三木谷氏が仕掛けたTBSに対する買収資金の出し手である三井住友の役員をやりつつ、TBSの社外経営委員として買収に応じるか否かの判断をする立場にもなるなど(その後、判断する委員会には出席しないこととなった)、何かと問題を抱えている。西川氏の能力は別として、やはり金融界からはご遠慮願うのがベターなのではあるまいか。
□問題の多い厚生労働省の医療制度改革案 さて、医療制度改革の議論が始まった。いろいろと論点はあるのだが、一番の焦点は高齢者に独自の保険制度を導入することではないだろうか。厚生労働省は75歳から全員保険料を徴収し、これまでの国民健康保険に対して健保組合や市町村国保の拠出金をなくそうとするものである。そのことによって75歳以上の高齢者の負担は年額で3,000円と厚生労働省は試算をしているが、本当にそれだけですむのだろうか。それ以上に問題だと思うのは、75歳以上の高齢者の保険者としての権利を誰が代弁していけるのか、ということにある。権利としての保険をしっかりと発言していかなければ、しわ寄せがたえず高齢者に降りかかってくるのである。弱者を切り捨ててはならないのだ。
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11月7日(月)
第541号 2005年11月7日
□組閣による小泉改革の拍車はかかるのか 10月31日、小泉首相は約束どおり内閣改造を行った。もっとも予定よりは1日早く改造したのだが、その理由は定かではない。注目されたポスト小泉を狙う4人衆といわれた麻生太郎、谷垣禎一、安倍晋三、福田康夫のうち福田元官房長官は入閣せず、外交問題とりわけ北朝鮮外交をめぐる首相らとの軋轢が生じていたことの修復がいまだに出来ていないことをうかがわせてくれる。安倍氏が官房長官となり、国民に対してスポークスマン的な役回りや各省庁と官邸、さらには与党側との調整など、総理大臣候補としての有力な立場に立ったと見てよいのだろう。今後の次期総理大臣競争は小泉改革に忠誠を誓って首尾よく改革を実践できるかどうかにかかっているわけで、全体として小泉改革なるものが、国民生活をどのように悪化させようとも、ますますピッチを上げて遂行されることは間違いない。
□竹中から与謝野氏への役割交代の意味は何か 今度の内閣改造で一番「おや?」と思ったのが、経済財政担当大臣を4年間ずっと続け、経済財政諮問会議を事実上取り仕切ってきた竹中平蔵氏が総務大臣になったことであり、後任の経済財政担当大臣には、これまで自民党の政策調査会長であった与謝野馨氏が、金融担当大臣と兼務して就任となった。この人事が何を意味しているのか、郵政改革の更なる進行管理を竹中氏に任せるとともに、三位一体改革や公務員制度の改革に力を入れようとする決意の現われと言われているが、定かではない。野党の財政金融担当として一番良かったのは、財政金融委員会にこれまでは担当ではないとして出てこなかった竹中氏と違って、金融担当である与謝野大臣が常時出席すべき大臣になったことである。いまや経済財政諮問会議こそが意思決定の中核になっており、経済財政政策を論議すべき時、担当大臣である与謝野大臣の出席なくして国会での論戦は、成果のないものになってしまうのである。是非とも実りある審議を進めて生きたいものである。
□増税論議などはもってのほかだ さて、日本経済の先行きについての楽観論が出回り始め、増税論議が与党側から出始めてきた。経済の一つのバロメーターである株価がこのところ急騰し、小泉内閣発足時の14,000円台を回復するところにまでようやくたどり着いてきた。また、日銀の福井総裁をはじめ関係者がデフレからの脱却が、間近であるかのような楽観的な主張を繰り返していることから、日本経済が完全に復調し、力強い成長軌道になってきたと認識するむきが増えてきている。本当にそうなのだろうか。いまだにデフレからの脱却は目途が立っておらず、石油価格の急騰やバブルといわれたアメリカの不動産価格もようやく低下し始めており、アメリカ経済の行方には楽観視できなくなっている。中国経済についても同様であり、日本経済が、輸出の停滞による落ち込みが懸念されている。 何よりも力強さを欠いているのは勤労者の所得、とりわけ中小企業に働く労働者の所得が落ち込んでおり、パートや契約・派遣労働などその多くが低賃金である不安定雇用労働者の増大によって、内需の伸びが停滞をしていることであろう。また、ゼロ金利の下での金利収入の減少も大きい。このような状況で今年もまた所得税の定率減税の廃止による増税や消費税の引き上げなどを進めていけば、せっかく立ち上がりかけた経済の足を引っ張る危険性が大きい。そのことの危険性を強く訴えたい。
□障害者の悲痛な叫びを聞け 先の通常国会で廃案となった障害者自立支援法が、残念ながら特別国会で成立してしまった。障害者から1割の負担を徴収しようとするもので、仕事にありつけている障害者の所得が1~2万円程度しかないのにどうやって生活しろと言うのか、と言った切実な、それこそ悲痛な叫びが、連日国会前で繰り広げられていた。法案が衆議院を通った瞬間、まさに怒りの叫び声がこだましていた。小泉改革なるものがハンディキャップのある人たちにどのような影響をもたらしているのか、如実に示している。
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